読者のみなさまから寄せられたボート遊びに関するレポートを掲載している、月刊『ボート倶楽部』の読者投稿記事「進め! BCフィールドレポーターズ」。
「舵オンライン」では、過去に掲載された記事の中から抜粋して再掲していきます。
●BOAT:〈seven seas〉(ヤマハPC‐26)
●FIELD:東京湾
(トップ画像説明)
現在の愛艇。私がボートを所有し始めたころは、ヤマハのPCシリーズは、若輩者のサラリーマンなどとても手の届かぬ憧れのクルーザーでした
ボートとの出合いは15~16歳のころ、当時住んでいた香川県善通寺市で友人とたまたま通りかかった2階建てのショールームに、当時珍しかった(私にとっては生まれて初めての)ヤマハのボートが展示されていました。
熱心に眺めていると、「君たちボートに興味あるかい?」と、人のよさそうな店主が声をかけてくれ、「よかったら今度の日曜日に多度津港で乗ってみるかい?」と、乗せてもらえることになったのです。
そのボートはヤマハのTRI-12SDX。小さいながら、なんともいえない美しさと力強さを兼ね備えたフネで、私の人生が大きく変わった瞬間でした。
その後東京の大学を卒業、就職して転勤族となりましたが、あの楽しさを忘れられず、30歳を過ぎたころに本社に戻ったタイミングで、本格的にボートライフを始めました。
千葉県や神奈川県、一時は静岡県のマリーナにボートを置いて楽しんでいましたが、2020年に、久しぶりに千葉の浦安マリーナに戻ってきました。
かなり久しぶりだったこともあり、浦島太郎状態かな・・・と危惧しましたが、思いがけず、かつて面識のあった方たちと再会でき、時々懐かしい昔話などをしています。
2022年4月、東京都の墨田区と江東区を流れる運河、大横川でお花見クルージング。水上ならではの眺め
今回の乗り替えでは、航走中にスプレーを浴びないフライブリッジ、漂流防止用に2基掛けエンジン、丈夫なボディーの国産艇、一人でも操船が容易なサイズ、船中泊できるキャビン、資金的に優しい中古艇・・・を条件に検討し、このフネに落ち着きました。が、予算の関係であまりにも古い艇となったため、頻発するエンジントラブルが悩 みの種です(乗ってる時間より修理している時間のほうが多い!?)。
キャビン内部。まだ始めたばかりですが船中泊も好きなので、居心地がいい空間にすることを心がけています
2022年秋、修理中のエンジン。ロシアのウクライナ侵略の影響で部品が届かず、修理完了時期は未定・・・。
⇒その後キジネコさんの愛艇のエンジンが果たして無事に復活できたのか? 気になる方はぜひ、キジネコさんのYouTubeチャンネル「キジネコTV」をチェックしてくださいね!(by編集部)
そんなある日、ふと思い出して、少年時代に出合ったあのボートショップを、確かこのあたりか・・・と、記憶を頼りにネットの地図で探してみると、あったのです!
夢中で詳細を調べてお店に電話し、事情を説明したところ、なんと店主の娘さんで、「父は3年前に亡くなりましたが、その話を聞いたらきっと喜んだでしょう」とのお返事。
現在は瀬戸マリーナも経営されていると教えていただきました。電話をした旧店舗の事務所は移転直前で、このタイミングで連絡していなければ、消息を知ることは難しかったかもしれないと思うと、不思議な縁を感じました。
今、私にとって海のない生活が、いかに味気ない世界なのかを考えたとき、私のボートライフのルーツというべきお店が今なお元気だと知ってうれしくなったのと同時に、私ももっと充実したマリンライフを過ごしていくことが、今は亡き店主から受けた恩に応えることなのだと、思いを新たにしました。
冬の船中泊。キャビンを暖めてくれるトヨトミのレインボーストーブ(左)と、体の中から温まれる鍋料理(右)
(左)マリーナで船中泊すると、普段なかなか見られない夜のマリーナの景色も見られます
(右)一夜明け、朝日に染まる愛艇
(まとめ=BoatCLUB編集部)
※本記事は、『BoatCLUB』2022年9月号に掲載された記事を一部抜粋したものです。最新刊およびバックナンバーもぜひご覧ください。
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