奄美大島の泊地情報をお届けする短期集中連載第2回は、加計呂麻(かけろま)島の玄関口、生間(いけんま)港。
今回ももちろん、海ガールの矢口あやはさんが、舵を取って海を航(ゆ)きます!
生間港は奄美大島南端の古仁屋港から3マイル弱。潮流が複雑な大島海峡を渡った先にあります。 加計呂麻島のヨット泊地は、瀬相(せそう)港と、ここ生間港ですが、静穏で留めやすいのはなんといってもこちら、生間(いけんま)。瀬相は島の中心部でにぎやかですが、生間からは、加計呂麻島南岸、お店や観光名所の多い諸鈍(しょどん)へも徒歩で15分ほどでいけるので、複合的に考えても生間をおすすめします。
生間港にはレンタカーも数店あり、島全体を観光するならぜひ。東西20kmほどの島ですが、道路がせまくスピードが出せないため、車で1周するのに2時間はかかります。
今回は、生間を拠点に、諸鈍(しょどん)、呑之浦(のみのうら)、安脚場(あんきゃば)、実久(さねく)、薩川(さつかわ)、伊子茂(いこも)、於斉(おさい)、徳浜(とくはま)を、雨ときどき晴れのなか、巡ります。
聞きなれない地名にわくわくする!
加計呂麻島の全体図。美しき入り江をガンクホーリングしよう♪
地元セーラー、〈Qni〉(岡崎 FB III)の岡本 久オーナー(左)と生間港に到着! 3マイル弱、ゆったりと、およそ1時間のセーリングでした♪
生間港の係留岸壁。防舷材はなく、アイはOリングとT字の大型クリート。防波堤の長さは50m弱です 。先に着いてた岡本さんのご友人が舫をとってくださった
生間港/臨時係留桟橋
加計呂麻島にはいくつか港があるが、ビジターヨットが留めるなら、瀬相よりは生間港がベター。外来艇のための桟橋ではないので、地元の漁船が使用する場合はすみやかに移動すること。長期滞在などはマナー違反だ。長く留めたい場合は地元セーラーと交流して教えてもらおう
©(一財)日本水路協会承認 第20190107号(航海用電子参考図ニューペック)
生間港から見た、雨上がりの虹。対岸に見えるのが古仁屋の街並みです
フェリーかけろまの発着所、生間待合所。自動販売機とトイレもあり。レンタサイクルもこちらで
生間待合所にある、かわいい図書館。タタミ2畳ほどのスペースにほっこり
ヒュー・ロフティングの『ドリトル先生航海記』を目立つ位置に陳列テロ(笑)!
生間から南へ徒歩15分。ここ諸鈍は、カフェや飲食店が並ぶナイスなエリア。たこ焼きかなめちゃんのお好み焼きは500円。大阪風でおいしいよ
かなめちゃんはコチラ。カフェメニューも充実です
諸鈍のデイゴ並木。300m以上もの長さ! 5月の初めに真っ赤な花を咲かせます
加計呂麻島で一番おすすめのアンカリング&ムアリングスポット。深く長く切り立った入り江は静穏そのもの。南国の樹木で生い茂り迫りくる山々の景観は、どこかタヒチなどの南洋を思わせる♪
呑之浦/アンカリング&ムアリングポイント
ムアリングブイが打たれた絶好の避航地。切り立った山に囲まれた静穏な入り江だ。北西部にムアリングブイが数個あり便利。アンカリングなら入り江の奥(南西方面)がいい。湾の入り口や奥には真珠筏が多数あるので十分注意して航行&アンカリングしてほしい
©(一財)日本水路協会承認 第20190107号(航海用電子参考図ニューペック)
ムアリングブイに係留してルアー・フィッシングを楽しむ。結局釣れませんでした
呑之浦は戦跡地でもある。特攻艇〈震洋〉の配備地であり、このような洞窟がそこかしこに見られる。写真の艇は展示用の模型
〈震洋〉を描いた小説『出発は遂に訪れず』の著者、島尾敏雄の文学碑は、入り江の東岸の山の上にあり
戦跡公園にある弾薬庫跡。大島海峡内に配備された連合艦隊を防衛するため、多くの軍事施設があった。
公園内には展望台も多数あり、奄美大島へのパノラマも楽しめます
「サネクブルー」の名で知られる、加計呂麻島屈指の美しきビーチ、実久。取材時は残念ながら雨……。しかたないので白砂のビーチで「サネクコーラル」を探します(笑)
薩川小学校のあるこちらのエリアも、カフェやレストランがたくさんあり。おすすめは「太陽の島カフェ」の薬膳カレー1,500円。イノシシ肉を使ったスパイスたっぷりの激うまカレー。五穀米に野菜もたっぷり。女子に人気です
こちらは島パニーニ、セットで1,000円。お茶は月桃茶をチョイス。ビーチに面したすてきなウッドデッキでおしゃれなカフェタイムを
沖縄県の「宮古島まもる君」は有名だが、ここ加計呂麻には「伊子茂まもる君」がいます。宮古島まもる君よりもイケメン! 伊子茂小学校前で、児童たちを守っています
まるでジャングルジムのように複雑に入り組んだガジュマルの木々。映画『男はつらいよ 寅次郎紅の花』のロケ地でもあります
於斉のガジュマルでターザンロープを発見!とりあえず揺れてみた
加計呂麻の東の果てに、ひっそりとある美しきビーチ、徳浜。アダンとハリテボクの林を抜けた先に、白砂のビーチが広がります。ウミガメに出合える浜としても有名。休憩はけんむん茶屋で。ビーチにはライオン岩もあるよ!
ヨットがなくても、フェリーかけろま(片道360円)があるから大丈夫。車も搭載できます
起伏に富んだ奄美大島、加計呂麻島の景観を楽しみながらのクルージングはぜいたくそのもの。ゆったりとした時間が流れます
ガンクホーリング(入り江巡り)に最適な地形を有する加計呂麻島クルージング。天気はあまりよくなかったけれど、それでなお美しい加計呂麻島。奄美大島へのクルージングに必ず組み込んでほしい、奇跡の島でした。
短期集中連載でお送りする奄美大島泊地紹介。次回は、奄美大島最大の港、名瀬(なぜ)港を紹介します。
(文=Kazi編集部/中村剛司、写真=山岸重彦(舵社))
※月刊『Kazi』2021年3~5月号にも関連記事掲載。バックナンバーおよび電子版をぜひ
矢口あやは
Kazi誌にて連載「矢口あやは、海ガールはじめました!」執筆中。6月14日、大阪生まれ。ライター、ときどきイラストレーター。旅行誌やカルチャー誌を中心に、グルメ、歴史、美容などのジャンルで活動。生物が好きで2014年に狩猟免許を取得。夢はヨットで世界一周。
ブログ: https://ayaha-yaguchi.amebaownd.com/
インスタグラム: https://www.instagram.com/ayaha614/
note : https://note.com/sakusaku_ok
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