2021年のマリン10大ニュースが決定! 栄えある1位は・・・、白石康次郎さん!
単独無寄港無補給世界一周レース「ヴァンデ・グローブ」へ参戦し、アジア勢初完走を成し遂げたことで受賞となりました。
(タイトル写真=photo by Yoichi Yabe)
マリンスポーツ専門誌の編集長など、マリンスポーツ&レジャーの現場で活動するマリンジャーナリストと、マリンに関心を持つジャーナリズム関係者・有志の集りであるマリンジャーナリスト会議(MJC)が毎年選定するこの「マリン10大ニュース」。では、1位以下の結果を見ていきましょう♪
photo by Yoichi Yabe
フランス西部レサーブルドロンヌから単独無寄港無補給で世界を一周するヨットレース「ヴァンデ・グローブ」で、海洋冒険家の白石康次郎さん(53)が11日、16位でゴールした。「海のエベレスト」とも呼ばれる世界有数の過酷なレースでアジア勢の完走は初めて。
photo by Jun Nakajima
2021年4月9日に、ヨット〈カオリンV〉(ハルベルグ・ラッシー39)で淡輪ヨットハーバー(大阪府)を出港。度重なる危機を乗り越えて、6月16日(日本時間)にアメリカ・サンディエゴのシェルターアイランドのヨットハーバーに到着し、太平洋単独無寄港横断に成功した。その後、辛坊さんは7日間の休養と整備を経て、再びヨットでの日本帰国を目指して出発。8月24日に母港の淡輪ヨットハーバーに帰港。復路の太平洋横断を成し遂げた。
東京オリンピックは7月27日、今大会で初めて採用されたサーフィンの決勝が行われ、男子の五十嵐カノア(23)が銀メダルを獲得。女子の都筑有夢路(20)も銅メダルを勝ち取った。
小笠原諸島の硫黄島の南にある海底火山「福徳岡ノ場」で13日、11年ぶりに噴火が確認された。気象庁によると、13日午前6時20分ごろ、気象衛星「ひまわり」が、硫黄島の南およそ50キロにある海底火山「福徳岡ノ場」から噴煙が上がったのを観測したほか、海上保安庁も13日午後に航空機で観測を行い、噴火を確認した。この噴火で噴出した軽石が、沖縄県などに押し寄せて被害が出ている。
photo by Jun Nakajima
1962年に世界で初めてヨット〈マーメイド号〉による単独太平洋横断航海を成し遂げ、映画化された航海記『太平洋ひとりぼっち』で世に知られた堀江謙一さんが、その航海から60年目にあたる来年、当時の航海と同じ19フィートのヨットでの太平洋横断航海に挑戦することを発表した。成功すれば83歳での快挙となる。
ヤンマーパワーテクノロジー(YPT)は10月13日、燃料電池システムを搭載した実証試験艇を用いて、世界初となる船舶への70MPa高圧水素充填を実施。大阪・関西万博会場予定地と市内沿岸部の観光地を結ぶ航路での航行試験を行った。
ワールドセーリング(国際セーリング連盟)は、2024年パリ五輪のセーリング競技の種目について男女混合外洋ダブルス(種目名:Mixed Two Person Keelboat Offshore Event)と男女混合カイトボーディングの2種目に代わり、男子カイトボーディングと女子カイトボーディングの2種目を採用することについて、IOCから承認の通知があったという。同日にスイスのローザンヌで行われていた、IOCの理事会での決定を受けてのもの。
photo by Yoichi Yabe
女子470級日本代表、吉田 愛/吉岡美帆
photo by Yoichi Yabe
男子470級日本代表、岡田奎樹/外薗潤平
オリンピックセーリング競技は8月4日、470級の最終レースが行われ、女子の吉田愛、吉岡美帆組(ベネッセ)は8着に入り、総合7位に入賞し、オリンピックを終えた。男子の岡田奎樹(トヨタ自動車東日本)、外薗潤平(JR九州)組は6着で、同じく総合7位の入賞を果たした。
photo by Ricardo Pinto for SailGP
7月22日、主要20カ国・地域(G20)環境相会合がイタリア・ナポリで開かれ、海洋プラスチックごみ削減のために新たな国際条約などをつくる議論に参加していくことで合意した。2022年2月に開かれる国連環境総会で条約づくりの委員会を設ける方向で議論が進められることになる。
振り返ってみれば、2021年のマリン業界は、ハッピーなニュースが多かった。長くつらいコロナ禍のトンネルはまだ抜けきっていないが、それらを跳ね返す海を愛する人々のパワーを強く感じた。
白石康次郎さんのヴァンデ・グローブ完走(1位)、辛坊治郎さんの太平洋往復(2位)、堀江謙一さんの再チャレンジ(5位)と、セールボートによる、オーシャンゴーイングかつアッパレな活躍や挑戦に耳目が集まった。さらに、パリ五輪種目のカイト変更(6位)、東京2020男女470級ともに7位入賞(8位)、SailGPの日本チーム2回優勝(9位)と、トップ10にセーリングボート関連ニュースが6件ランクインしたことにも驚いた。前回2020年は3件であった。
2021年の夏を熱くした東京2020セーリング競技であったが、期待通り男女470級でメダルの獲得があれば、また違ったランキングが完成したと想像する。オリンピック7位入賞。これが世界大会の順位ならもろ手を挙げて喜ぶはずが、4位以下への注目度が激減するのもオリンピックならでは、というところか。オリンピック関連では、サーフィン種目、五十嵐カノア選手の銀メダル、 都筑有夢路選手の銅メダルは、率直に感動した。ビジュアルも華やかな2人には、今後のマリン業界のスピーカーとして大いに活躍してほしい。
高圧水素充填を使ったヤンマーパワーテクノロジーの燃料電池システム搭載船(6位)、海洋プラごみ条約づくり合意(10位)と、SDGsで掲げられる目標と関連する環境問題は2件ランクイン。海底火山「福徳岡ノ場」の噴火(4位)は、8月の噴火からその後、軽石が沖縄諸島ほかへ漂着したとあり、多くのセーラー、ボーターの頭を悩ませた。コロナ禍もやや収まり、さて晩夏の海を楽しもうというタイミングであったにもかかわらず、リゾート地でのクルージングに急ブレーキをかける結果に。
圏外ではあったが17位の『釣りバカ日誌』連載1,000回達成や、21位以下ではあるが、佐々木希の船釣り挑戦&釣りコーデに驚きの声、に大いに注目した。国民的釣り漫画の記録達成や、人気タレントが海を楽しんでいることをSNSで発信してくれることは、なによりのマリンシーンの普及につながる。
一人のジャーナリストがやきもきしてもどうなる問題ではないが、発信に加えて、育成と普及はマリンシーンの急務であり、取り組んでいかなければならない重大な事由である。そういった意味で、1~10位に入選し2021年の海を大いに盛り上げていただたいた関係者・各社には、手放しの賛辞をお送りしたい。
2021年も、潮っ気強き感動をありがとうございました。
(文=Kazi編集部/中村剛司)
※月刊『Kazi』3月号に関連記事掲載予定。バックナンバーおよび電子版をぜひ
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