今や日本では数少ないヨットビルダーの一つが、香川県・小豆島に本社を構える岡崎造船だ。
同社は、今年(2020年)5月に創業90周年を迎えた。
創立90周年を迎えた岡崎造船。右が4代目社長、岡崎英範氏
photo by Tsuyoshi Nakamura / Kazi
小豆島の本社には、歴史を感じさせる木製の看板が掲げられている
photo by Shigehiko Yamagishi / Kazi
1930年(昭和5年)に近隣の船大工を集めて、小豆島の琴塚で造船所を創業したのが岡崎造船のルーツ。当初からヨットを建造していたわけではなく、漁船などを中心に木造船を建造していた。
その後、岡崎一雄氏を中心としてパワーボートなどのプレジャーボートも扱うようになり、戦時中は軍の上陸用舟艇や運搬船などの建造も行うことになった。戦後1953年(昭和28年)に香川県で行われた「第8回国民体育大会」を機に、競技艇であるA級ディンギー(木造)28隻を建造したことがきっかけとなり、ヨットの建造が主軸になっていく。その後もフィンやスナイプといった木造のディンギーを建造し、ヨットビルダーとしての歴史を刻んでいくことになる。
1969年(昭和44年)には初のFRP製ヨット「FB III」、1973年(昭和48年)には「ピオン30」の建造を開始。1983年(昭和58年)には木造艇の建造を終了したが、その高い木工技術は綿々とに引き継がれていく。翌1984年(昭和59年)には「パイオニア9」を発売し、現在もラインアップに連なるロングセラー艇となった。
以降も和船造りの時代から培われた高い技術を磨き続け、数々の名艇を世に送り出し続けている。
岡崎造船では初めてのFRP製ヨットFB III(写真左)。ピオン30(写真右)は、大ヒットしたモデルの一つ
photo by Okazaki Boat Yard
1984年デビューのパイオニア9は、現在もラインアップされている超ロングセラーモデル。写真はパイロットハウス仕様
photo by Okazaki Boat Yard
林 賢之輔氏設計の岡崎33デッキサルーン。好みの船内レイアウトにオーダーメイドできるのも好評だ
photo by Yoichi Yabe
2008年デビューの岡崎30Cは、モダンクラシックな雰囲気を感じさせる、30フィートクラスの集大成ともいえる一艇
photo by Katsuhiko Miyazaki / Kazi
パイオニア11をリメイクした岡崎37C。少人数でのロングクルージングを考えたモデルだ
photo by Okazaki Boat Yard
2019年発表の最新モデル、岡崎361デッキサルーン。シングルハンドでも安全にセーリングを楽しめる数々の工夫が施されている
photo by Yoichi Yabe
岡崎造船では現在、発売から36年となるロングセラー艇「パイオニア9」、2019年に発表されたばかりの「岡崎361デッキサルーン」など10種以上のプロダクションヨットのラインアップをそろえている。また、さまざまなカスタムオーダーメイドにも可能な限り対応してくれるのが、歴史と技術を誇る同社ならではの大きな特徴だ。
フネを購入するオーナーとフネを作る側が、直接話をして好みのヨットに仕上げていく──これができるのは国産ヨットビルダーならではの強みでもあるだろう。「メイドインジャパン」を旗印に、これからも魅力的なヨットの建造を続けていってくれるに違いない。
木工技術には定評がある。その最初の行程となる「材料取り」(削り出し)を行っているところ
photo by Shigehiko Yamagishi / Kazi
金属部品を加工するスペース。棚には0.1mmごとに整理されたドリルビット(刃)が並んでいる
photo by Shigehiko Yamagishi / Kazi
(文=舵社 企画編集・営業部/小川佳文)
(問い合わせ)
岡崎造船
TEL: 0879-67-2016
http://www.okazakizosen.co.jp/
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