5年ぶりの開催!|第63回パールレース結果速報

2022.07.26

伝統的ロングレース、パールレースが帰ってきた! 2018年、2019年は台風で中止、2020年、2021年大会はコロナ禍で中止。そして、2022年、第63回パールレースが、7月22日、ついに無事スタートした。 

(タイトル写真=岩瀬喜貞/五ヶ所湾沖のスタートシーン) 

 

今回の参加艇は50艇。快晴の三重県・五ヶ所湾を出艇したレース艇は、予告通り7月22日11時に一斉スタート。江の島ヨットハーバー沖に設置されたフィニッシュラインまでの距離は180NM。

スタート時こそ無風に見舞われるシーンもあったが、南西からの10kt前後の良風に乗って、気持ちよく走る参加艇たち。夕方から夜半には風は西に回り、時に30kt近い風速のなか真夜中のダウンウインドを激走した。

遠州灘を越え、大方の艇はウェイポイントである利島(としま)の手前で朝日を迎え、伊豆大島をかわして相模湾へ。フィニッシュラインが設置された江の島ヨットハーバー沖を目指した。ファーストホームの〈T DRACONIS〉(ロジャースIRC 46)がフィニッシュラインを切ったのは、翌日7月23日の9時21分15秒。実に速いレース展開となった。

見事総合優勝に輝いたのは〈KLC HORIZON 6〉(横山30R MOD)。では、スタート前の様子と、江の島ヨットハーバーで行われた表彰式の様子をそれぞれ見ていこう! 

 

スタート本部が置かれた、志摩ヨットハーバー(三重県)。美しく生まれ変わったハーバーに、レーサーたちが続々と集まった 

 

 

第63回パールレース総合優勝、IRCクラスD優勝の〈KLC HORIZON6〉(横山30R MOD)

持ちきれないほどのトロフィーに笑顔を見せる、プロセーラーの荒川海彦さん。

「前半苦戦して、大型艇に置いて行かれるシーンもありましたが、あきらめずについていきました。あきらめなかったことが勝因ですね。的確に判断して、先を読みながらアクションできたことがよかったと思います。パールは10回ほど出ていますが、夏の一番楽しいレースですね」(荒川さん) 

 

 

スタート前の〈KLC HORIZON 6〉。邨瀬愛彦オーナー(右端)を中心に戦うロングレースの雄である。ゴールデンウイークに開催された外洋ダブルス全日本選手権に邨瀬オーナーと乗り優勝をゲットした高原奈穂さん(右から2人目)も参加! 

 

 

ファーストホームの〈T DRACONIS〉(ロジャースIRC 46)

表彰式にはクルーの守屋有紗さん(中央)が参加。JOSA(Japan Ocean Sailors Association)の支援を受け、2021年ファストネットレース(英国)を完走したセーラーのひとりだ。

「パールレースは2回目で、1回目も〈T DRACONIS〉に乗せていただきました。オーナーをはじめ、クルーのみなさん、陸上で手伝ってくださったみなさんに助けられて、すばらしい経験ができました。はじめての外洋レースがパールだったので、そこから外洋レースが好きになった大会で、大好きな大会です」(守屋さん) 

 

 

志摩ヨットハーバーの桟橋で準備する〈T DRACONIS〉

 

 

ORCクラス優勝の〈テティス4〉(ベネトウ・ファースト40.7)

児玉萬平オーナー(中央)を中心に活躍する外洋チームだ。

「楽しいレースをさせていただきまして、ありがとうございました。久しぶりにレースをさせていただき、充実感のほうが先に立っています。おかげさまで優勝させていただきましたが、どんな結果であっても、このコロナに打ち勝ったという思いのほうが、みなさん強いんではないかと思います。参加したみなさんすべてを、大いに尊敬をしたいと思っております。ありがとうございました。もう、パールには50何年は出ていますね。私にとってのパールレースですか? そうだなあ、お米みたなものですかね(笑)。食べていないと生きている気がしない。それだけでおいしいってわけでもないけど、食べていないと不安になる。そういうレースです(笑)」(児玉さん) 

 

 

桟橋の〈テティス4〉。児玉さん(右端)は実に50年近くパールレースに参加し続けている猛者だ 

 

 

ダブルハンドクラス優勝の〈シエスタ〉(ベネトウ・ファースト40.7)

8艇がエントリーした過酷なダブルハンドクラスを制した〈シエスタ〉。クルーの藤井裕己さん(中央)がトロフィーを掲げる 

 

 

スタート前の〈シエスタ〉。このチームは先日行われた外洋ダブルス全日本選手権のファーストホーム&準優勝チームなのだ 

 

 

IRCクラスA優勝の〈マウピティ〉(クックソン12M)

言わずと知れた湘南魔火矢の一族。江の島ヨットハーバーを代表するレースチームの1艇でもある 

 

 

スタートマニューバに入る〈マウピティ〉

photo by Yoshisada Iwase 

 

 

IRCクラスB優勝の〈MIWA〉(シドニー36CR)

クルーの高橋雄亮さん(左)が息子さんを抱きトロフィーゲット!  

 

 

スタート前、桟橋の艇上に集合した〈MIWA〉チーム 

 

 

高橋家、大集合。奥さまの藍さんもお手伝いにやってきた

 

 

IRCクラスC優勝の〈アフロス〉(カー33)

表彰式の時間を間違え、少し遅刻してしまったクルーの畠山知己さん(左)。

「〈KLC HORIZON 6〉に17分差で総合2位。クラス優勝できたことはよかったですが、勝つために準備してきたのでそこは・・・。伊豆大島を回ってから、ナビゲーターとして乗っていたJSAF外洋東海の三浦君が『勝敗は秒差になる』といって、はじめてそうかと思いました。利島までは真夜中の23ktの風の中、ジャイビングを繰り返して進みました。これで突き放せるかなと思い航跡を見ると、後ろの〈MIWA〉と〈サンダーバードII〉も同じようにジャイビングしながら追従してきた。反対タックの〈ヴォーグ〉ともう1艇も同じ。ミドルボートはシビアなレース展開でした。パールレースは日本のセーリング界にとって必要なレースです。今の若いセーラーが足りない要素を補ってくれる重要なレースです。ウインチを知らない、ブイ回りしか知らないセーラーたちに参加してほしい。オーバーナイトがある、セールチェンジがある、段取りが一番、トラブルがあったら自分で解決しなければならない。本当に重要なレースです」(畠山さん) 

 

 

スタート前のミーティングを行う〈アフロス〉チーム

photo by Yoshisada Iwase

 

 

今回、〈VEGA8〉(Xp-33)に同乗して取材を行ったKazi編集部の中村による、パールレース同乗記は、月刊『Kazi』10月号(9/5発売)に掲載予定。そちらもお楽しみに。

 

(文・写真=Kazi編集部/中村剛司 写真=岩瀬喜貞)

 

※月刊『Kazi』2022年10月号に関連記事を掲載予定。バックナンバーおよび電子版もぜひ 

 

第63回パールレース

公式ページ

レース結果

 


あわせて読みたい!

●GLOBE40 第2レグスタート|最長7,700マイルの戦い

●東京湾のビッグレースに80艇参加/スバルザカップ2022

●沖縄-東海ヨットレース2022表彰式、全コメントをアップ!

 


ヨットレース

ヨットレース の記事をもっと読む