世界でも屈指のスーパーヨットビルダーとして知られる、オランダのロイヤルハイスマン(Royal Huisman)。その注目のプロジェクト(#406)について紹介しよう。
全長52m(約171ft)、デッキの階層は6デッキという度肝を抜かれるサイズを誇り、完成すれば世界最大のスポーツフィッシャーとなる。スーパーヨットの世界においても、このスポーツフィッシャーというスタイルに特化した艇は皆無であり、計画段階から際立った存在として注目を集めたことはいうまでもない。
内外装のデザインとネイバルアーキテクチュアを担当しているのは、Vripack Yacht Design Studio。副クリエイティブディレクターのBART M. BOUWHUIS氏は、次のように語る。
「プロジェクト#406は、ビッグゲームに真剣に取り組むオーナーのために設計された、真のスポーツフィッシャーです。私たちは、ネイバルアーキテクチュアにおける専門知識と経験を糧に、設計のすべての要素を引き受けました。それはつまり、妥協は全くないということです。ロイヤルハイスマンのようなワールドクラスの造船所と協力して、この象徴的なボートのプロジェクトにかかわることができ、本当にうれしく思っています」
デザインは非常に特徴的で、広く長い船首エリアから後方にかけて明確なシアーラインが描かれ、アングラーにとってのバトルステージとなるアフトコクピットへと連なっていく。フライブリッジ、そしてその上にそびえ立つツナタワーは、このボートの戦闘力を語る上で重要な要素だろう。
この6層にもわたる高い上部構造は、別の効用ももたらす。上部の階層にいるゲストにとって、そこは極上の展望台となる。昼間はもちろんのこと、夜になれば満点の星空を堪能することができるに違いない。
スーパーヨットは多々あれども、これだけの眺望を備えたスーパーヨットなど、ほかにはないはずだ。
見たこともないスタイルのアフトコクピット。低い乾舷が、いかにもスポーツフィッシャーらしい。
そこから階段を上がっていったエリアの中央に注目いただきたい。さながらそこは極上のアリーナ席。目の前で繰り広げられる、アングラーとカジキとの熱いファイトを、息づかいを感じながら見られるわけだ。
ハルや上部構造物はアルミニウム製。全長52m(約171ft)、完成したハルが建屋の中に運び込まれる作業も圧巻のスケールだ。
建造は粛々と進んでおり、2022年初夏には上部構造物の一部がハルの上に降ろされた。残り4層のデッキの建造作業のほか、さまざまな作業が並行して行われており、予定では2023年中にも完成し、進水する予定だ。内装のデザインは一切公開されていないが、ロイヤルハイスマンクオリティーのラグジュアリーな空間となっていると思われる。
ビッグゲームの世界のベンチマークとして、唯一無二の存在の誕生が待ち遠しい。
(文=舵社/安藤 健 写真=Tom van Oossanen / Royal Huisman 画像=Royal Huisman)
【Royal Huisman / Project #406】
●全長:52m(約171ft)
●内外装デザイン、ネイバルアーキテクチュア:Vripack Yacht Design Studio
●ハル・上部構造物:アルミニウム
●建造:Royal Huisman
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