日本→サンディエゴ→日本の往復航海へ
大阪出航から69日かけて太平洋横断航海を成功させ、日本時間の6月17日朝にサンディエゴに到着した辛坊さんは、なんと到着してすぐに電話出演したラジオ番組で、「帰りも1人で乗って帰る」と宣言。
そして到着からわずか6日後の現地時間6月22日朝5:58(日本時間の22日21:58)、日本に向けてサンディエゴから折り返し航海に出航した。
なんと、陸に慣れて船酔いが長引くことを懸念して、サンディエゴ滞在中も多くの時間を船の中で過ごしたとのことだ。
サンディエゴの公共ハーバーから出航した〈カオリンV〉(ハルベルグ・ラッシー39)。
サンディエゴ滞在中、〈カオリンV〉のエンジンオイルを交換しながら、ウェブ会議ツールで『Kazi誌』並びに『舵オンライン』の取材を受ける辛坊さん。
満身創痍だった〈カオリンV〉
滞在期間中は、ゆっくりすることもなく、往路の嵐でさまざまな生じたさまざまなフネの不具合の修理に負われた。
修理したおもな内容は以下の通り。地元のヨットマンの手配で迅速に修理を進めることができた。
■切れたジブシート(前側の帆の操作ロープ)の交換
■ジブファーラーのドラム内干渉の改善
■メインセールのハリヤードの修理
■固定ピンが破損したブームバングの修理
■上から2番目のシュラウド(マストを左右方向に支えるワイヤ)の交換
マスト取り付け金具(ターミナル)の先端部分がねじり切れていることに、到着前日に気が付いたという。ディスマスト(マスト折損)してもおかしくない状態であった。上の写真の円盤形のレーダー機器の下で垂れ下がっているのが破損したシュラウド(D2)。
大嵐に何度も遭遇したとはいえ、往路で多くのトラブルが起こったことに関して、「出航した時点では太平洋横断をする力量はまったくなかった。無謀でした」と自身の準備不足を反省していた。
復路はハワイ寄港も!?
すでに長年の夢であったヨットでの太平洋横断を実現させた辛坊さんは、復路の航海では「無寄港の太平洋横断」にはこだわっていない。
アメリカから日本を目指す西行きの航海では、追い風である「貿易風」に長く乗るために、往路よりもはるか南の海域を通るのが大航海時代からの通例であり、状況によってはハワイや小笠原諸島に立ち寄る可能性があると話していた。
辛坊さんが復路の出航を急ぐのには理由がある。アメリカ大陸西海岸からハワイ付近までの貿易風帯は比較的天候が安定しているとされるが、往路と同じような時間がかかるとすると、日本への到着は8月中旬から9月上旬。本格的な台風シーズンの前に日本に戻りたいと考えている。
往路の航海をほぼリアルタイムで伝えた古野電気の辛坊さん応援ウェブサイトでは、復路の航海においても、すでに位置情報の更新がはじまっている。ぜひチェックしていただきたい。
往路に関して、このトラッキングデータから算出した記録は以下の通りとなっている。
●抽出期間:2021年4月9日~6月17日(日本時間)
●総走行距離:6,927海里(約12,829km)
●総走行日数:68.99日(公式発表69日間)
●平均船速:4.183ノット
辛坊さんの太平洋横断航海の概略
7月5日発売予定の月刊『Kazi』8月号より。
トップ写真は、辛坊さんの到着を桟橋で出迎えた、失敗に終わった辛坊さんの最初の太平洋横断のパートナー、岩本光弘さん(右)と。
(文=Kazi編集部/中島 淳 写真=鍋谷直輝)
※辛坊さんの往路航海についての詳しい記事は、7月5日発売の月刊『Kazi』2021年8月号に掲載予定です。また5~7月号にも関連記事があります。ご興味のある方は、全国書店またはこちらからお求めいただけます。
辛坊治郎さんの太平洋横断チャレンジを応援しよう!
古野電気の特設ウェブサイト
https://www.furuno.com/special/jp/shinbo-challenge/
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