3月24日(現地時間)に起きた、スエズ運河におけるコンテナ運搬船〈EVER GIVEN〉(全長:399.98m、全幅:58.80m)の座礁事故。ニュースでも連日報道されているため、すでに皆さんもこの事故のことはご存じかと思います。
この巨大な水路を通ることで、例えば地中海や北大西洋からインド洋方面に向かう場合、アフリカ大陸南端の喜望峰を回っていく必要がなくなります。当然ながら、厳しい気象が続く海域を走る必要もないですし、何より圧倒的な距離の短縮(=時間の短縮)につながるというわけです。
現在も懸命の離礁作業が行われているようですが、なにせ幅の狭い水路内での出来事とあって、困難を極めている様子。一刻も早い事態の解決を願うばかりです。
※2021年3月29日23時15分追加情報更新
日本時間3月29日22時ごろ、〈EVER GIVEN〉は離礁し、航行を開始。運河の通航も可能になりました。
さて、そんなスエズ運河の様子を簡単に知ることができるウェブサイトを紹介しましょう。AIS(船舶自動識別装置)といえば、自船の名前や大きさ、速度、行き先など、さまざまな情報をやりとりするシステム。一定の大きさ以上の船舶には搭載が義務付けられており、ヨットやボートの世界でも簡易型AIS(AIS クラスB)が普及しつつあります。
本来は船舶に搭載された機器同士で情報をやりとりし、情報を得るものですが、このAIS情報を表示するウェブサイトやアプリが昨今は増えています。有料プランと無料プランとでは、情報の公開にタイムラグがあったりしますが、パソコンやスマホで世界の海の様子を眺めて楽しむぶんには全く問題なし。ワタシがよく見ているのは「Marine Traffic」というウェブサイト(アプリもあり)です。このウェブサイトで見たスエズ運河の様子を紹介しましょう。
画面中央の二重丸が、座礁中の〈EVER GIVEN〉。クリックすると、船舶の情報や写真などが出てきます。それにしても、スエズ運河の南北の出入り口付近は、まさに大渋滞といった感じですね。
©Marine Traffic
クローズアップしてみました。〈EVER GIVEN〉の周りには、タグボートが何隻がいるようです。懸命の離礁作業にあたっているんだろうな~と想像できます。
©Marine Traffic
アフリカ大陸の南端を回って、インド洋を横切るルートも大渋滞中? 普段はこんなに船舶の数は多くないんだろうと推察されます。事故がひと段落してスエズ運河の航行が可能になったあとで、あらためて見てみようと思います。
©Marine Traffic
画面右上のBOXに船舶名を入れると検索できる機能もあり。試しに「MIRAIE」と入れてみると・・・練習帆船〈みらいへ〉は3月28日10時現在、石垣島付近を走っていました。
©Marine Traffic
AIS情報が見られるフリーサイトは、ほかにもいろいろあります。こちらは「Vessel Finder」というウェブサイトでのスエズ運河の様子です。
©Vessel Finder
と、Vessel FinderのYouTubeチャンネルには、〈EVER GIVEN〉がスエズ運河に入って座礁に至るまで、さらにはたくさんの救援艇が集まってくる様子が動画で紹介されています。これはすごいですね。
(文=舵社/安藤 健)
●AIS情報が見られるウェブサイト
「Marine Traffic」
https://www.marinetraffic.com/
「Vessel Finder」
https://www.vesselfinder.com/
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