【水路を航く】#11/千葉県・印旛沼水系①因幡捷水路

2021.09.26

日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。

第11回は、『ボート倶楽部』2020年8月号に掲載された、千葉県の印旛沼水系①因幡捷水路を取り上げる。

※本記事の取材は2020年5月に実施しました。

 


まるでジャングルクルーズ

千葉県最大の湖沼、印旛沼(いんばぬま)の湖畔には公園や遊歩道が整備され、近隣のみならず、訪れる多くの人の憩いの場となっている。トレーラブルボートを持ち込み、穏やかな水面の中、ブラックバス釣りを楽しむ人も多い。印旛沼はもともと大きな一つの沼だったが、戦後の干拓事業によって、現在は北印旛沼と西印旛沼に分かれている。この二つをつなぐ水路、印旛捷水路にインフレータブルボートを浮かべて小さな船旅を楽しんだ。

北は利根川、南は千葉市の幕張へとつながる印旛沼水系。普段、水は利根川へ流れ、氾濫の恐れがある場合にのみ新川、花見川と伝って、東京湾へ排水している。

内水面の穏やかな印旛沼でボート遊びが楽しめるとあって、よく晴れた気持ちのいい日に、インフレータブルボートを湖面に下ろした。広く開けた本湖から印旛捷水路に入ると、景色が一変する。深い草木に覆われているため、両岸へは近づけない。また、並行して走る道路は水面よりも高い位置にあるため、まるで密林の中にある渓谷のよう。特に橋の上から水路を見下ろす風景は壮観。あまり注目されることのない人工的に造った水路だが、ボートで航行すると身近に雄大な自然を感じることができた。

 

(タイトル写真説明)
北印旛沼と西印旛沼を結ぶ細い水路の印旛捷水路。初夏のこの時季、濃い緑色の木々が生い茂っていた。奥に見える赤い色の鉄橋は水路に架かる市井橋

 

印旛捷水路に架かる山田橋から、隣に架かる市井橋方向を撮影。橋の上からは、曲がりくねった水路がよく見渡せる

 

橋の上から真下を航行するインフレータブルボートを撮る。風でできた波紋とボートの曳き波、きらめく水面がとてもきれいだった

 

西印旛沼の西側にある「ふな一貸船店」の前は、日の出を撮影する人に人気の場所。晴れ予報が出ていたこの日も、夜明け前から撮影に来ている人がいた

 

双子公園の小高い丘から望む印旛沼

 

1966年に印旛捷水路の掘削工事中にナウマンゾウの化石が発見された。そのことにちなんでナウマンゾウの像が設置されている

 

捷水路の岸近くは草木で覆われているため、船外機を跳ね上げ手漕ぎで楽しんだ。岸近くまで行けるのは、インフレータブルボートの醍醐味(だいごみ)の一つ

 

(文・写真=舵社/山岸重彦)

 

※本記事は、『BoatCLUB』2020年8月号に掲載された記事を一部抜粋したものです。最新刊およびバックナンバーもぜひご覧ください。なお、この記事の情報は、誌面掲載当時のものです。

 


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