日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。 舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。
第21回は、『ボート倶楽部』2020年9月号に掲載された、千葉県・印旛沼水系の新川を取り上げる。
(※本記事の取材は2020年7月に実施しました。掲載内容は取材当時のものとなりますのでご注意ください。)
東京メトロ東西線に直通している東葉高速鉄道が1996 年に開通したことで、都内へのアクセスが格段によくなった千葉県八千代市。鉄道の沿線部は開発が進む一方、古くからの梨畑や緑豊かな里山など、自然を感じられる場所も多く残っている。印旛沼から流れる新川が市内を縦断しており、川沿いに整備された遊歩道は、市民の憩いの場になっている。流れもなく穏やかな新川に、インフレータブルボートを浮かべた。
「ボート遊びは非日常を感じられるのがいい」と、別の取材時にオーナーさんから話を聞いたことがあった。遠くに行かなくても可搬型のボートがあれば、身近な場所でも非日常を楽しめる。今回は自宅近くの川沿いにある道の駅へ、クルマではなくインフレータブルボートで向かうことにした。
人工河川である新川は、場所を選べばインフレータブルボートを川に下ろすことができる。 取材した日は、風や流れがほとんどなく、鏡のような水面だった。2馬力船外機を積んだボートで、のどかな景色を見ながら、ショートクルーズを楽しんだ。土手を散歩する人から注目を浴びつつ、難なく道の駅に到着。ちょっとした航程だけど、非日常を楽しむことができた。
(トップ画像説明)
新川に架かる大きな橋梁には、東葉高速鉄道が走る。東京メトロの東西線へ直通しており、都心へ通う多くの人が利用している
(左)新川の南端にある大和田機場。増水時、花見川へ排水するための施設で、これより先(南)にはボートで行くことはできない
(右)流れや波がほとんどない新川。カップに入れたコーヒーを飲みながら操船できるほど、穏やかな水面だった
印旛沼の水を利用するために造られた新川は、ほとんどが護岸工事されている。川は一段低い場所を流れており、広々とした印象を受ける
流れがほとんどない新川は、水面が鏡のようになることも多い。奥に見えているのは歩行者専用のゆらゆら橋。村上橋の上から撮影
今回の目的地である「道の駅やちよ」。ボートで来る人はまれだと思うが、この近くも護岸されており、取材時は簡単に上陸することができた。国道16号線と新川に挟まれた場所にある
■道の駅やちよ(八千代ふるさとステーション)
千葉県八千代市米本4905-1
TEL:047-488-6711
(左上)道の駅内にある「やちよ道の駅食堂」。厳選した地元の食材を使った和食の店で、看板メニューは麺類(ラーメン、うどん、そば)だが、各種定食もラインアップされている。取材時は、新型コロナウイルスの影響で時短営業となっていたので、訪れる際には事前に確認しよう
(右上) 八千代市内の酪農家組合が経営するアイス工房「プチシャンテリー」。市内でその日に搾乳された牛乳を使った手作りアイスクリームやソフトクリームが大人気
(下)ふるさとステーション内の農産物直売所「クラフト」では、その日採れた新鮮な野菜や加工品などが販売されていた
(左)古くから梨の産地としても有名な八千代市。新川沿いにも多くの梨畑がある。日焼けと鳥類からの食害防止のため、一つずつ袋をかけている
(右)ブラックバスとヘラブナ釣りの場所としても人気の新川。休日ともなれば、川沿いに太公望がずらりと並ぶ
(文・写真=舵社/山岸重彦)
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