日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。 舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。
第23回は、『ボート倶楽部』2021年2月号に掲載された音戸の瀬戸(広島県)の風景をお届けします。
(※本記事の取材は2020年10月に実施しました。掲載内容は取材当時のものとなりますのでご注意ください。)
古来、海運と深い関わりのあった広島県・倉橋島は、大型の遣唐使船が日本で初めて建造されたという言い伝えも残っている場所だ。呉市の音戸地区と警固屋地区との間にある、全長800メートルほどの音戸の瀬戸は、厳島神社への参拝や宋との貿易のために平 清盛が切り開いたとされている。穏やかな瀬戸内海にあって、激しい潮の流れと多くのフネの往来で海上交通の難所とされているこの瀬戸は、鉄橋すれすれをくぐり抜けていく大型フェリーから小さな漁船まで、実にさまざまなフネが頻繁に航行している。
また、その急流を体験するためのクルーズもあるほど、観光地としても人気が高い。一番狭い場所では、対岸まで約80メートルしかないため、大型船とすれ違う際には手に汗握る航行となる。
(トップ画像説明)
呉市と松山市(愛媛県)を結ぶ最大旅客定員300名のフェリー〈翔洋丸〉が、音戸の瀬戸に架かる鉄橋をくぐり抜けていく。青い空と周囲の緑に真っ赤な鉄橋が映える
呉港から音戸の瀬戸へ向かう。遠くからでも鉄橋のアーチ形状がよく見える
倉橋島側の橋脚のたもとにある清盛塚。音戸の瀬戸は、平 清盛が扇で夕日が落ちるのをあおぎ返して一日で切り開いたという伝説が残っている
取材時には、音戸の瀬戸においてもっとも狭いところを行き来する、“日本一短い航路”=「音戸の渡し船」が航行していたが、残念ながら2021年の10月末をもって、惜しまれつつ廃止された
海上自衛隊の歴史や装備品などが展示されている海上自衛隊呉資料館。愛称は「てつのくじら館」
■海上自衛隊呉資料館 TEL:0823-21-6111
JR呉駅近くの「大和ミュージアム」には、精巧に作られた10分の1サイズの〈大和〉が展示されている
■大和ミュージアム TEL:0823-25-3017
広島市中区にあるデルタマリン江波マリーナ。ボートはリフトを使って上下架する(写真右)
■デルタマリン TEL:082-291-8125
(文・写真=舵社/山岸重彦)
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