日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。 舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。
第32回は、『ボート倶楽部』2018年9月号に掲載された、水郷・徳島市の水辺の風景をお届けします。
※本記事の取材は2018年の5月に実施しました。掲載内容は取材当時のものとなりますのでご注意ください。
徳島市の中心街をぐるり一周
「おどる阿呆に見る阿呆、同じ阿呆ならおどらにゃそんそん」
徳島といえばなんといっても阿波おどり。中でも徳島市阿波おどりは突出した規模と知名度を誇り、本番である8月12~15日に向けて、町全体が熱気に包まれる。また、徳島市は大小138もの河川が流れる水の都でもあり、古くから水と関わってきた歴史ある町でもある。
市内の中心部は新町川と助任川に囲まれ、中州のようになった陸地の形から「ひょうたん島」と呼ばれている。徳島城跡や県庁など、川から町をぐるっと見ることができる約6キロのひょうたん島クルーズ は、1周30分程度。荒天でない限り原則毎日11時~16時の間、遊覧船が運航している(7、8月は17時~20時のナイトクルーズ)。
運営しているのは「新町川を守る会」というNPO法人で、クルーズのほか、ボランティア参加者を募り、ボートで川の清掃活動や川沿いの花壇整備も行うなど、川を舞台に、住んでいる人や訪れる人をつなぐ活動を続けている。
(トップ画像説明)
「ひょうたん島クルーズ」の発着場所がある両国橋の欄干には、1992年の改修の際に設置された阿波おどりのブロンズ像が立っている(逆サイドには男おどりの像も)。新町川はマイボートでの航行も可能
ポンツーンボートを操船し、川から徳島の町のガイドをするのは、1990年発足の「新町川を守る会」を立ち上げた中村英雄会長
ひょうたん島クルーズのコースにもなっている、県庁前のヨットハーバー、ケンチョピア。県庁の窓の明かりや、遊歩道沿いのライトが日没後にきれいな景色をつくり出していた
氾濫のたびに橋が流されていたのを鎮めるために、僧侶を人柱として橋脚に立てたという伝説が残る福島橋。新しい橋に架け替えられたあとも、伝説の古い石積の橋台は今も残されている
徳島市のシンボルともいえる眉山。山頂展望台からは市内が見渡せる。天気がよければ淡路島や紀伊半島も一望できる
霊山寺の門前にある門前一番街の名物、よもぎと粟の2種類のもち「あわくった」。水琴窟(すいきんくつ)のある庭園で、旅の疲れを癒やせる。
■門前一番街 TEL:088-689-4388
(文・写真=舵社/山岸重彦)
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