日本各地にある海峡や運河などを巡る、『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。
第4回は、『ボート倶楽部』2020年11月号に掲載された、岡山県牛窓・唐琴の瀬戸を取り上げる。
※本記事の取材は2020年7月に実施しました。
本土と前島(緑島)との間を流れる、唐琴の瀬戸。一番狭い場所では幅300メートルほどしかなく、大潮のときには渦潮ができるほど流れが速い。カラカラという音がするほど速い潮の流れから、その名がついたともいわれている。複雑な地形をした岩礁地帯の海域は魚影が濃く、釣りの一級ポイントだ。魚を求めて、釣り人さらにはネコも瀬戸の岸辺に集まる。
古くから潮待ち風待ちの港町として栄えた牛窓(岡山県)には、今も昔ながらの風情が残る。瓦屋根の古い家が、海沿いのしおまち唐琴通りに沿って並んでいる。牛窓にある船だまりには小型の漁船が数多く舫われており、漁業が盛んであることを伺い知ることができる。
唐琴の瀬戸の東から昇る朝日を撮影するため、日の出前から海沿いへ出掛けると、すでに釣り人がサオを出していた。日が昇ると、小型のプレジャーボートや和船で釣りをする人が唐琴の瀬戸に集まる。野良ネコや首輪を付けた飼いネコも、岸から釣りをする人からのおこぼれを狙ってやってくる。ネコと釣り人が集まる古い町並みには、穏やかな時間が流れていた。
まだ日が昇ってからそれほど時間がたっていないが、唐琴の瀬戸には、釣りをするボートが数多く浮かんでいた
高台にある神社、五香宮の境内からの景色。瓦屋根の建物が立ち並ぶ牛窓の町と瀬戸内海が見下ろせる
江戸時代、備前藩主の池田綱政の命により、夜間航行するフネのために造られた牛窓燈籠堂。現在のものは、江戸時代の絵図をもとに昭和63年に推定復元された
安産と航海安全祈願の神社、五香宮。海沿いの見晴らしがいい小高い丘の上に立つ。境内にはネコがたくさんいた
しおまち唐琴通りには木造の古い家が並ぶ。裏側は海に面しており、場所を生かした小さな造船所が何軒もあった
(文・写真=舵社/山岸重彦)
※本記事は、『BoatCLUB』2020年11月号に掲載された記事を一部抜粋したものです。最新刊およびバックナンバーもぜひご覧ください。なお、この記事の情報は、誌面掲載当時のものです。
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