今日の選手紹介は2本立て。男女混合ナクラ17級の飯束潮吹／畑山絵里（エス・ピー・ネットワーク、飯束がトップ画像右上、畑山が同右下）をお送りいたします。同じ日本経済大学の先輩後輩ペアです！

 

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男女混合ナクラ17級
Mixed Multihull

飯束潮吹／畑山絵里

 

「目標としてきた世界最高峰の舞台で、実力を発揮したい」

 

■スペイン遠征で実力アップ

男女混合ナクラ17級はリオ五輪から採用の新しい種目で、その後フォイリング仕様になった。国内で指導者もいない中、2人の地道な活動は続いた。
飯束「自粛期間中は家でのトレーニングがメインで、練習再開後は動作練習をしっかりやって、この1年でベースの力は上がったと思います。昨年11月から5月までスペインに遠征して、海外勢との練習で戦える部分が増えてきました。基本10艇くらいいて、全員五輪に出る選手なので濃い練習ができました」
畑山「トップの選手に追いつくように一生懸命に練習をすること、それに伴って体力作りをしてきました。それとメンタルトレーニングに関する講習を受けたり、知識を養う時間にあてました。海外遠征では、お互いの意思をしっかり言葉にしてコミュニケーションを取ることの大切さを知って、今まで以上に2人のコンビネーションがよくなってきたと思います」

五輪開催の是非が議論されているとき、周囲の声がつらいこともあったという。
畑山「その頃にやる気を落としてしまったことがありました。『残念だったね』と声をかけられることが嫌で。テレビを見なくなって、応援してくれる人だけの声を聞くようにして、周りをそういう人で固めましたね」
飯束「2021年に入って五輪を開催する雰囲気になって、自分の気持ちも上がってきて。開催に尽力されている方に自分も応えたいなと思います」

 

2019年のテストイベント「READY STEADY TOKYO」の様子

 

■動じない飯束と努力家の畑山

互いのセーラーとしての特徴はどんな点か。
飯束「畑山は考えて動くタイプで努力家。すごく身体能力やスキルが高いわけではないけど、頑張って頑張ってスキルを手に入れるひたむきさがあります」
畑山「飯束さんはどっしり構えていて、動じない人。緊張する場面でも緊張した顔を見せないし、焦ってても焦った顔をしない。いつも私1人焦っているんですけど（笑）。構えていてくれるからそれを見ると安心します」

五輪セーリング競技唯一のフォイリング種目で、その勝負の鍵はフォイリングするか否かだという。
飯束「いかにフォイリング状態で速く走れるか。加えてフォイリングするときと、しないで安全に走るときの使い分けに差が出ます」

リオ五輪は日本から出場はなく、2人は同種目として初の日本代表になるが、畑山はすでに先のことも見据えていた。
畑山「日本代表になれてうれしいのはもちろんですが、この経験を後の世代にどうつないでいくかも考えています。関心のある若手が全然育っていないので、私たちを見て興味を持ってくれる子たちに対して、何か伝えられるものがあればいいなと思いますね」

自分たちの強みの強風での走りを武器に、メダルレースに出場することが目標だ。メダルを狙える位置にいればもちろん狙っていくという。
飯束「五輪が世界最高峰の舞台であることは間違いないと思うので、実力を発揮できればいいなと思っています」
畑山「ラッキーも積み重なって、実力とともに順位も上がっていければ。楽しい瞬間は一瞬だと思うし、その一分一秒を意志を持ってかみ締められるように段取りしたいなと思います」

最高の舞台でさらに経験を積み、それを国内に還元してもらいたい。頼もしい2人の東京五輪が始まる！

 

【スキッパー】
飯束潮吹（いいつか・しぶき）
●所属企業： エス・ピー・ネットワーク
●出身：神奈川県
●年齢：32歳
●身長／体重：174cm／70kg
●競技歴：23年
●経歴：江の島ジュニア➡福岡第一高校➡日本経済大学
●五輪出場歴：初

 

【クルー】
畑山絵里（はたやま・えり）
●所属企業：エス・ピー・ネットワーク
●出身：和歌山県
●年齢：29歳
●身長／体重：166cm／73kg
●競技歴：13年
●経歴：和歌山県立星林高校➡日本経済大学
●五輪出場歴：初

 

【応援メッセージ】
Kazi誌が企画した日本代表への応援メッセージの一部を掲載します。

・畑山ちゃん、ここまで色々なことを乗り越えて戦ってきたこと、本当に尊敬してるし470級の相棒として誇りに思います。最高の舞台、潮吹さんと一緒に思いっきり楽しんできてね！長崎から応援してます！！（リオ五輪女子470級キャンペーン時のペア・山口祥世／ 29歳）
・日本最強のフォイリングミックス！飛んで飛んで飛びまくれ！（つんちゃん／ 48歳）

 

この記事は、現在発売中の『Kazi』8月号を再編集したものです。ぜひ本誌『Kazi』もお買い求めください。 

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（文＝森口史奈／Kazi編集部　レース写真＝矢部洋一　選手顔写真＝濱谷幸江／日本セーリング連盟）

 

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