琵琶湖の湖畔に水辺の文化の発信基地が誕生|ヤンマーサンセットマリーナ

2023.09.04

セーリング、ボートフィッシング、ウェイクサーフィンなど、休日ともなれば、湖面では多くの人たちが楽しむ姿が見られる琵琶湖。静穏な水面は、プレジャーボーティングにとっては最適なゲレンデだ。

その中心部の東側、琵琶湖大橋のたもとにあるヤンマーサンセットマリーナ(滋賀県守山市)が、宿泊機能などを備えたマリーナとしてグランドオープンを迎えた。8月4日(金)には、晴れ渡った青空の下で華やかなオープニングセレモニーが行われた。

 

オープニングセレモニーには、大杉住子 滋賀県副知事(中央右)のほか、多くの来賓が招かれた。左端はヤンマーホールディングス/セイレイ興産の山岡健人 代表取締役社長

 

今回のリニューアルの最大の注目は、新装されたクラブハウス。ドーム型の外観はとてもアイコニックなもので、周囲の風景とも調和している。

クラブハウスは3階建てで、2階と3階にはワンランク上のリラクゼーションを提供するホテルが用意された。客室はわずか7室で、そのうち2室がスイートルーム。全室から琵琶湖と比良山系の山々が織りなす絶景を望め、時間の移ろいとともに表情を変えていく様を堪能することが可能だ。

 

ドーム形の建物が新しい施設。外側の階段やテラスに芝が敷かれ、美しい琵琶湖の風景に溶け込んでいる。写真右に見えるのが琵琶湖大橋

 

3階に設けられたスイートルーム「Sunset Suite」。天然木と版築で仕上げられた客室は、高級感とぬくもりにあふれている。これら建物全体を、建築家の芦澤竜一さんがトータルでデザインした

 

「客室の木材は、サクラやクス、ブナといった広葉樹を材料として使っていますが、すべて琵琶湖の周りを産地としているものです。また、天井や屋根には土を用いていますが、これも同様に琵琶湖周辺から取り寄せたものです」(芦澤さん)

 

こちらは2階のスイートルーム「Marina Suite」。寝室やバスルームなどは大きなガラス張りで、琵琶湖を望むことができる。インテリアや家具の木材、天井の土など、琵琶湖周辺の材料が使われている

 

2室のスイートルーム以外に、ゲストルームが5室用意されている。シンプルながらも落ち着きのある空間。すべての部屋にハンモックがしつらえられている

 

グランドオープンにあたってのコンセプトは、「人間の豊かさと自然の豊かさの両立」。美しい琵琶湖湖畔の自然の中で、地域に由来のある材料を使っての空間づくりを目指した。

また、建物の外側の階段にまで芝生が張り巡らされ、ビオトープが設けられていたりもする。デザイン面のみならず、環境への高い配慮がなされていることも見逃せない。

 

各部屋のテラスには、芝生が張り巡らされている。ドーム型の建物の屋根には、琵琶湖周辺を産地とする土が使われている。芦澤さんによれば、団子状にこねた土を投げていくことで、独特の凹凸感を表現したのだという

 

もちろん、極上のリラクゼーションを提供するための設備にも抜かりはない。マリーナ会員とヨットクラブ会員だけでなく宿泊者も利用することができる施設として、1階にはレストラン、3階にはバーラウンジやサウナ、テラスにはジャグジー付きのプールまで備えられている。

プールはインフィニティプールで、琵琶湖の湖面と連なっているかのような壮大な景色の中でリラックス
することが可能だ。こういった設備は、すべて宿泊料金にオールインクルーシブとなっている。

 

目の前に広がる琵琶湖と一体化したかのような視界が広がる温水インフィニティプールから、比良山系の雄大な景色を望むことができる

 

3階に設けられたバーラウンジ。宿泊する場合の料金には、レストランでの食事やバーラウンジ、サウナ、プールなどの利用料も全て含まれる、オールインクルーシブとなっている

 

テープカットのセレモニーの後には、1階のラウンジで立食パーティーが催された。ホテルのレストランのシェフが腕をふるったメニューの数々は絶品。琵琶湖に由来する食材を使っている

 

一方、1階にはマリーナ会員とヨットクラブ会員専用のラウンジが用意されている。このヨットクラブというのは、今年3月に設立された「琵琶湖サンセットヨットクラブ(BSYC)」(会長:堀場 厚さん)のこと。セレモニー当日は、設立の趣旨や今後の活動について、ヤンマーレーシングの谷路泰博さんによる説明の場が設けられた。

 

「BSYCは、琵琶湖で遊び、自分の居場所と感じてもらえるようなクラブ組織を目指しています。そして“次世代セーラーの育成”ということが、それ以上に大切だと考えています。来年には、BSYCによるジュニアアカデミーをスタートする準備もしています。ヤンマーレーシングにとっても、BSYCでの活動には重要な意義があります」(谷路さん)

 

日本では根付いていないが、海外のヨットクラブ文化には、“社交場”という側面がある。マリーナを運営するセイレイ興産株式会社のマリーナ事業部の責任者であり、BSYCの監事も務める雪野弘泰さんは、次のように話す。

「ホテルは、11月から一般の方にもご利用いただけます。元々は海外のようなヨットクラブを作りたいという話があり、それならば会員にくつろいでいただくスペースも必要ということから計画が始まりました。琵琶湖の東側で夕日が見えるという点では、オンリーワンの施設ができたと自負しています。自然との共生というのも大切なポイントで、例えば建物にも芝生を設置することは、環境負荷を減らすことにもつながります。また、環境に配慮した基準を満たすことで取得できる、ブルーフラッグの申請もします。子供たちから大人までが集う、そんな特別な場所を目指しています」(雪野さん)

 

来年秋には、ここを拠点にドラゴン級の国際大会を開催する計画もあるという。

単に船を保管するだけではない新しい形のマリーナが、琵琶湖から水辺の文化を創出していく。

 

(文=舵社/安藤 健 写真=松本和久)

 


ヤンマーサンセットマリーナ

〒524-0102 滋賀県守山市水保町1380
TEL: 077-585-1212(代表)、077-516-4191(ホテル直通)
https://y-sunsetmarina.com/

■ 営業時間:9:00〜18:00( 10〜3月は9:00〜17:00) 
■ 定休日:火曜日(1〜2月は火・水曜日)

 


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