梅雨入り前の琵琶湖にセーラーが集結!|YANMAR CUP 2023 in BIWAKO

2023.06.02

まだ5月だというのに、九州北部や四国、中国、近畿、東海の5地方で、早くも梅雨入りが発表された(5月29日)。琵琶湖ではその前日の28日(日)に、時おり夏を思わせる青空の広がる中で「YANMAR CUP(ヤンマーカップ)2023 in BIWAKO」が開催され、クルーザーキールボート、合わせて33艇がエントリーした。

ヤンマーカップといえば、琵琶湖を代表するオープンヨットレースとして人気を集めてきたイベント。過去には60艇を超える参加艇があったこともある。新型コロナウイルス禍での中止を余儀なくされてきたが、昨年の開催を経て、今回はコロナウイルス禍の始まる前と同様に、レース後の表彰式&パーティーも含めて通常通りのスタイルでの実施となった。

ホストマリーナとなったのは、琵琶湖大橋東側に位置するヤンマーサンセットマリーナ(滋賀県守山市)。今年8月のお披露目に向けて、現在クラブハウス棟の新築工事も佳境となっており、セーリングのみならず、ボート、ウェイクサーフィンなど、琵琶湖におけるウオーターアクテビティ―の拠点としてさらなる注目を集めている場所だ。

 

2012年に創業100年を迎えたヤンマーは、次の100年に向けて「A SUSTAINABLE FUTURE」という企業ビジョン(ブランドステートメント)を掲げ、「ワクワクできる心豊かな体験に満ちた社会」の実現を目指すべく力を注いでいる。このヤンマーカップも、マリンスポーツを通じての、その取り組みの一つであることはいうまでもない。

 

レース当日の予報は、微風の続くコンディション。11:00のスタート近い時間となっても、なかなか風向が定まらず、風速も1~2m/sという状況だ。

それでも予定通り11:00にはクルーザークラス、続いてレーサークラスがスタートし、ヤンマ―カップが始まった。

参加艇にとっては、神経をすり減らすような微風となったが、それでも時折ブローが下りてくると、スピードに乗って快走する艇も見られる。風向もコロコロ変わる中でのレース展開となったが、夏を思わせる太陽の下でのセーリングを満喫することができたに違いない。観覧艇でレースを観戦していた人たちも、きっとセーリングの魅力を感じることができたはずだ。

 

総合優勝&レーサークラス優勝は、神奈川県・葉山から自艇を持ち込んで遠征してきた〈SWIFT MAGIC〉(メルジェス20)。平川猶基オーナー(中央)は、琵琶湖やヤンマーカップには特別な思いがあるということで、喜びもひとしおだった。また同チームは、JSAFサステナビリティ―賞も受賞。

 

クルーザークラス優勝は〈ミニマム〉(R23IIa/相阪 滋オーナー)。総合部門でも4位と気を吐いた。写真右はヘルムスパーソンを務めた相阪奈央子さん、左はヤンマーのマリーナ部門の責任者である雪野弘泰さん

 

表彰パーティーには、100人を超えるセーラーが集まった。この笑顔! この熱気!

 

表彰式の前には、ヤンマーレーシングのメンバーとしてドラゴン級で活動するプロセーラー谷路泰博さん(右)によるトークショーがおこなわれた。ヤンマーレーシングの活動やドラゴン級の魅力など、普段はなかなか聞くことのできない話は、セーラーたちにはとても興味深いものだったはず。左は聞き役を務めた月刊『Kazi』の中村剛司 編集チーフ。

 

現在、谷路さんのほか、レジェンドセーラーとして日本でもおなじみのピーター・ギルモア、そしてその息子のサム・ギルモアの3人で活動をおこなっているヤンマーレーシング。2018年からドラゴン級での活動をスタートしており、ヨーロッパでのグランプリシリーズを転戦している。

2022年のグランプリシリーズでは、見事に総合優勝。また2023年は、初戦のフランス大会(GP de Douarnenez French Open)で優勝と、今シーズンも幸先のよいスタートを切っている。

このレース活動のみならず、ヤンマーでは、ドラゴン級の国際大会の公式スポンサーにもなっている。ドラゴン級の現代における最高峰ともいえる大会である「YANMAR Dragon Gold Cup(ヤンマー・ドラゴン・ゴールドカップ)」がその一つだ。

 

ところで、ヤンマーレーシングが、なぜこのドラゴン級を活動の場に選んだのだろうか。

ドラゴン級は1929年に誕生した歴史あるクラスだが、現在も世界中のセーラーの憧れであり、100年近くにわたって活発に活動がおこなわれている。

ヤンマーは100年企業であるわけだが、単に100年つながりというわけではなく、セーリングがエコなスポーツであり、なおかつ自然がいつまでもあり続けること=ヤンマーのパーパス「A SUSTAINABLE FUTURE」に通じるものだからこそ、セーリング活動への支援を続けているといえよう。

未来を見据え、マリンスポーツを通じてヤンマーが注力しているさまざまな取り組みは注目に値する。こういった活動を通じて、セーリングやマリンレジャーの裾野が広がり、日本における新しい水辺の文化が創造されていくことを大いに期待したい。

 

(文=安藤 健/舵社 写真=松本和久)

 

 

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