ヨコハママリーナのドルフィンクラブで上質な時間を過ごす

2022.06.08

ヨコハママリーナ/平野ボート(神奈川県横浜市)が運営するドルフィンクラブをご存じだろうか。免許なしでも入会できる会員制レンタルボートクラブだ。

「当クラブでは、会員資格を“社会的信用があると認めた方”に限定していますので、会員数も限られており、利用するにあたっての枠(クラブ艇の数に)余裕があることが特長です。また、オプションでスタッフに船長を依頼することもできるので、ボート免許をお持ちでない方も入会でき、ボートライフを満喫することができます」
と説明してくれたのは、ドルフィンクラブのボーティングプランナー、中村 武さん。

免許を持っていれば、2回の講習を受けたあと、クラブ艇のトヨタ・ポーナム26Lか同ポーナム28GⅡを自由に操船することが可能。航行区域は東京湾全域と広いので、縦横無尽に駆け回ることができるのだ。

 

クラブ艇の一つ、トヨタ・ポーナム28GⅡ。レンタルボートとしては珍しいトヨタのボートが体験できるのもドルフィンクラブの利点だ

 

ボート免許所有者であれば、入会後に、座学と実技の講習を受ける。危険箇所やローカルルールなども教えてもらえるので、安心して利用できる

 

とある晴れた日、セーラーである森本智恵美さんが、ドルフィンクラブの船長付きのショートクルージングを体験した。

ヨコハママリーナのある根岸湾から出て、みなとみらい方面へ向かう。スロットルレバーを少しずつ倒し込んでいくと、ボートがぐんぐんと加速していく。ステアリングホイールをゆっくりと回すとボートの舳先が向きを変え始め、見える景色が変わっていく。当たり前なことだけど、それが森本さんには嬉しかったようだ。

 

森本智恵美さん。シーカヤック、ダイビング、セーリングクルーザーなど海を楽しみ、ボートにもぜひチャレンジしたいと、ドルフィンクラブを体験。主に、ゴルファーを対象としたピラティスを主宰。東京都内在住

 

空は青く、少しかすみがかっている。そのフィルターが、かえって春らしさを演出し、空を優しく見せている。顔に当たる風は少し冷たいが、それが思っていた以上に心地よい。後ろを振り返ると、曳き波が遠くまで伸びていて、これまで楽しんできたシーカヤックやヨットとは違う魅力がボートにあることをあらためて実感できた。

そういえば、「今日は横浜の景色と潮風を思い切り楽しんでください」と、ボーティングプランナーの中村さんに、出航前に声をかけられたのだった。あぁ、こういうことだったのか、と思う――。

 

この日、森本さんにとって「最高だった」のが、初体験だったフライブリッジでの操船

 

実際のところ、森本さんがこの日、最もすてきだと感じたのは、ステアリングを通して伝わる海の躍動感と、少し冷たい春の潮風を浴びた時間だった。

ベイブリッジが見え始めたところで、船長に操船を代わってもらう。ステアリングを手放すのは名残惜しくもあったけど、行き交うフネが増えてきたし、ここで代わってもらったほうが、操船した気持ちよさが、いつまでも残るような気もした。

 

みなとみらいエリアで操船を交代。このあと、船長付きで来てよかったと、このオプションのありがたみをつくづく味わうことになる

 

みなとみらいエリアの橋をいくつかくぐり抜けると、帆船のマストが見えてくる。コクピットにテーブルを広げると、船長がグラスにワインを注いでくれた。やっぱり今日は船長をお願いして正解だった。

ボートに積んでいたのは「横浜ワイン」。平野ボートが、海への感謝の気持ちを込めてプロデュースしたワインだ。

注いだ瞬間に麗しい香りが立ち上がる。そこにほんの少し潮の香りが混ざったようで、芳香がますます愛おしく、美しくなったような気がした。

 

横浜の街を背景に「横浜ワイン」をいただく。この瞬間は船長がいてこその時間。ワインが潮風にこんなに合うとは知らなかった

 

昼下がりの時間をゆっくりと過ごし、マリーナへと戻る。今度来るときは、東京湾を渡って、千葉県の保田か富浦でも目指してみようか。南に走らせて三崎に行ってみるのもいいかもしれない。まだ免許を持っていない夫や娘たちを誘い出す自分を想像してみた。次のプランを考えるだけで、森本さんは幸せな気分になったのだった。

 

平野ボートは明治45年(1912年)に創業した歴史ある会社で、ボートの販売、修理・整備、免許教室、ヨコハママリーナの運営など、幅広い業務を手掛けている。今回紹介したドルフィンクラブについてはコチラまで

 

アフターボーティングに最適な、マリーナが一望できるオーナー専用ラウンジだが、ドルフィンクラブのメンバーなら利用可能だ。海の休日の余韻に浸りつつ、次回へと思いを巡らすのも、またいい

 

(文・写真=秋山波瑠/まとめ=BoatCLUB編集部)

 


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