“下剋上セーラー”が世界に挑む!|名城大学ヨット部がクラファン実施中

2024.05.26

6月4日(火)からイタリア・ガルダ湖で開幕する「デゼンツァーノ2024世界大学セーリング選手権」。
国際大学スポーツ連盟(FISU)により選抜された世界各国の16チームが競うこの大会に、日本代表として名城大学ヨット部の出場が決定。現在、同部は大会出場にあたって、必要となる資金の支援を募るクラウドファウンディングを実施している。

目標金額は5,000,000円で、5月24日(金)現在の支援金は1,146,000円。期間は6月30日(日)23:00までとなっている。世界に挑戦するヤングセーラーたちに、少しでも多くの支援が集まることを期待したい。

 

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【下剋上セーラー】名城大学ヨット部 25年ぶり世界選手権出場!

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【名城大学体育会ヨット部】ご支援方法のご案内

 

世界への挑戦権を手にした名城大学ヨット部だが、数年前までは部員数の減少により、存亡の危機に立たされていたという。
現在でも厳しい経済状況に置かれながら、世界での躍進を目指す同部ならではの取り組みを紹介する。

 

(文=川野純平/Kazi編集部 写真提供=名城大学ヨット部)

 


 

“初心者軍団”の下剋上、U25マッチで準優勝

U25マッチで準優勝した名城大学ヨット部チーム〈Meijo univ.j/24 class〉。大学からセーリングを始めたメンバーで構成されたチームが、多くの強豪相手に大健闘。大会関係者に大きなインパクトを与えた

 

名城大学ヨット部は中部学生ヨット連盟に所属し、ディンギーで活動するヨット部。
かつて全国大会でも好成績を残していた時期もあったが、2014年には部員数が1人まで減少。その後なんとか廃部の危機を乗り越え、現在は部員数も回復しているが、ほとんどの部員が入部するまでセーリング経験が無く、自らを“初心者軍団”と呼んでいる。

そんなチームが今年の3月、三河みとマリーナ(愛知県蒲郡市)で開催された「セイル・オン 第12回 JYMA選抜 大学&U25ヨットマッチレース 兼 全日本ユースマッチレース選手権大会」(以下、U25マッチ)で見事に準優勝を果たした。

この大会は25歳以下のセーラーを対象にした、マッチレースの若手日本一決定戦。全国的な強豪大学の選手や、マッチレースの経験者が多数参加する中で、膨大な練習量を武器に臨んだ“初心者軍団”の下剋上は大きな反響を呼んだ。

この大会に至るまでの同部の奮闘の様子は、クラウドファウンディングサイトで詳細に記載されているので、ぜひご覧いただきたい。

 

次の目標は大学世界3位

世界大学セーリング選手権のレースを想定した練習を行う名城大学ヨット部

 

下剋上の物語は続く。U25マッチの結果を受け、前述の通り名城大学ヨット部は世界大学セーリング選手権の出場権利を獲得した。しかし、苦しい経済状況の中で活動する同部にとって、普段の活動と並行しながら、総額700万円を超える海外遠征費用を捻出することは不可能に近い。

そこで、自身でも最大限の資金調達を行った上で、遠征費用の支援を募るクラウドファウンディングを実施する運びとなった。

同部は支援を求めるにあたって、大会の目標を「メダル獲得(3位以上)」と設定。この高い目標を達成するために、現在はディンギーヨット部の枠組みを越えた取り組みを実施している。

 

本番の使用艇となるドルフィン81(ジェネカーを採用したスポーツタイプの小型キールボート)を想定し、地元三河湾でメルジェス24やC&C30といったスポーツボートを持つオーナーから船をレンタル。外部コーチに指導を仰ぎながら積極的に練習を行い、近隣で行われるキールボートレースに出場するなど着実に経験を積んでいる

 

photos by Yoshisada Iwase

5月19日にはラグナマリーナ(愛知県蒲郡市)をベースに開催された中部地方最大級のキールボートレース、「第38回 エリカカップヨットレース」に〈コジロー24〉(メルジェス24)で出場。オープン参加なので順位は付いていないが、強豪チームたちを相手に善戦。レースの様子は同部OB小沢 亘さんのFacebookで公開されている

 

同大OGで、現在コーチを務める森 由美子さんは「最初にこのチームで出場したレースで厳しい結果に終わり、ミーティングでいつも優しい外部コーチから、初めて厳しい言葉がありました。『多くの人に支えられて挑戦させていただける意味を考え直さないと先はないよ』、と。学生の意識が変わる貴重な機会となりました。そして大会前の最後の実践となるエリカカップヨットレースでは、メンバーの成長した姿を見せることができました。名城大学ヨット部は、地元の皆さまに支えられて、ありがたい環境で練習をさせていただいております。世界選手権では、応援してくださる皆さまの気持ちを胸に、精一杯頑張ってまいります」と語る。

 

本番の乗員は男女3人ずつ、計6人と規定されており、部内で選抜したメンバーが参加する。「このメンバー選考にも非常に苦心しました」(森コーチ)

 

大学ヨット部からディンギーでセーリングを始めて、在部中にマッチレース、キールボートを本格的に経験し、ついには世界選手権に挑戦するチャンスをつかんだ名城大ヨット部の幅広い活動は、セーリングというスポーツが持つ可能性を体現しているといえる。

こうしたチャレンジが広く伝われば、セーリングの魅力をあらためて広めることにもつながるはずだ。

大会メンバーとサポートチームは6月3日(月)にイタリアに向けて出発し、6月6日(木)からレースに臨む。
名城大学ヨット部の元に少しでも多くの支援が届くことと、それを力に“初心者軍団”が世界を相手に再び「下剋上」を巻き起こすことを期待したい。

 

【名城大学ヨット部 クラウドファウンディング 要項】

【下剋上セーラー】名城大学ヨット部 25年ぶり世界選手権出場!

●支援募集期間:6月30日(日)23:00まで
●目標金額:5,000,000円
※目標金額に達しない場合でも、不足金額分は名城大学ヨット部が自己負担して大会に出場する

下記、各支援プランとそれぞれのリターン
●5,000円&10,000円:現地写真または直筆手紙写真(10,000円は両方)
●12,000円:名城大学ヨット部ピンバッチ
●20,000円:イタリア世界選手権限定特製ピンバッチ
●30,000円:イタリア世界選手権限定特製ピンバッチ、限定ういろう、ヨット試乗会招待
●50,000円:30,000円プランの内容+記念Tシャツ
●100,000円:30,000円プランの内容+記念パーカー
●300,000円:100,000円プランの内容+限定カレッジリング+記念ジャケット
●500,000円:300,000円プランの内容+記念Tシャツ
●1,000,000円(10人限定):500,000円プランの内容+イタリア現地招待

※詳細はサイトでご確認ください

 

●デゼンツァーノ2024 世界大学セーリング選手権

国際大学スポーツ連盟(FISU)により選抜された16チームが世界各国から参加する。代表国には、イタリア(2チーム)、カナダ(2チーム)、シンガポール、ドイツ、フランス、オランダ、オーストリア、日本、クロアチア、ポーランド、マレーシア、オーストラリア、アイルランド、中国が含まれる。
レースが実施されるのはイタリア・ガルダ湖。使用艇はドルフィン81。6月6日(木)から始まる予選は9レース実施予定で、6月9日(日)にゴールドフリートとシルバーフリートに分かれて決勝を行う。

 

大会で使用されるドルフィン81
photo by FISU World University Championship Sailing

 


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