
【水路を航く】#59/島と島をつなぐ橋、水路より仰ぎ見て ~長崎県西海市・大島、崎戸島
江戸時代には捕鯨、明治から昭和にかけては炭鉱の島として、隆盛を誇っていた長崎県西海市・大島。
平成11年11月11日、島民の念願だった橋が架け渡され、西彼杵(にしそのぎ)半島への往来が格段に容易となった。
炭鉱所が閉鎖されたあと、島は企業誘致を進め、現在は漁農業に加えて造船が主産業となっている。
橋は、大島の先の崎戸島までつながる。
全盛期には人口2万人を超えた崎戸島、当時の集合住宅や炭鉱の跡が残り、華やかだった時代の痕跡をたどることができる。
長崎市内から約1時間半、佐世保市内からは1時間ほどの距離にある大島~崎戸島は、水路や歴史を愛する者なら必見のスポットである。
(トップ画像説明)
左奥に見えているのが大島造船所。赤いアーチ型の鉄橋は、寺島へとつながる寺島大橋。右奥の白い斜長橋が、西彼杵半島(九州本土)との架け橋である大島大橋。寺島大橋の下は、潮の流れが速いため、白い渦の跡が航跡のように見えている
◆日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『BoatCLUB』の人気連載「水路を航く」。 舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。
◆第58回は、『BoatCLUB』2023年12月号に掲載された、長崎県・大島、崎戸島の風景をお届けする。
(※本記事の取材は2023年の8月に実施しました。掲載内容は取材当時のものとなりますのでご注意ください)

夜明け前の大島大橋を、大島側にある展望レストハウスの前から撮影。日中の景色もさることながら、朝焼けの空をバックにした橋のシルエットは優雅で、また違った趣をもっていた

大島で最も高い194メートル地点にある百合岳公園の展望台からの眺め。天気がよければ五島列島、平戸島、西彼杵半島まで見渡せる。春は花見スポットとしても人気だ

大島の森の中にたたずむ名店「パン&カフェひこばえ」。こだわりの自家製パンを求めて、島外から訪れる人も多い人気店。ひこばえとは切り株に新たに生えてくる芽のこと。仕事を引退してから店を始めた自分になぞらえ、店主が付けたものだそう

日が昇る1時間前、崎戸島の小さな船だまりで。上空が紺色から青へと変化する中、崎戸島と蛎浦島(かきのうらしま)を結ぶ本郷橋の明かりが点々と光る

大島の太田尾地区にあるカトリック教会「太田尾教会」。木造モルタル仕上げの教会堂は昭和4年(1929年)に造られた。入り口には2体の石像。内部はコウモリが羽を広げたようなリブ・ヴォールト天井が特徴的。事前に確認連絡をすれば見学も可能
(文・写真=山岸重彦/舵社)
