
沖縄県の慶良間(けらま)諸島を出港した、セーリングカタマラン、〈アケーディア・ロシナンテ〉(ラグーン42)。相澤規勝(のりかつ)オーナーとその仲間たちは漆黒のナイトクルージングに突入していった・・・。静かな夜。風向風速は南東13~16ノット。気持ちよく帆走する〈アケーディア・ロシナンテ〉。夜が明けるとそこは宮古群島北部に広がる、絶景の環礁、八重干瀬(やびじ)であった。このレグに私、Kazi編集部チーフの中村剛司が同乗した。宮古ブルーが広がる楽園の海を目指すゴキゲンなクルージングライフを、短期集中連載でお送りする。本記事は、月刊『Kazi』9月号に掲載された記事に新たな写真を加えて再編纂するものだ。
◆メインカット photo by Shigehiko Yamagishi | 座間味島~宮古島、約150マイルの航程。14:00に古座間味(ふるざまみ)を発ち、宮古群島北部、池間島の北のサンゴ礁、八重干瀬(やびじ)にとっついたのは10:00ごろ
やがて日が暮れる

夜更けを迎えた〈アケーディア・ロシナンテ〉(ラグーン42)。セールアップしてナイトセーリングへ向かう・・・

日の入り、薄明を終えると周囲は漆黒の闇に・・・

マストの先に広がる満天の星

日の出の光がナイトセーリングの終わりを告げる
150マイルのナイト航
座間味島から宮古島まで、その間に島影はない。その距離約150マイル。海底地形を見ても、宮古島以西は沖縄県というよりも地形的には八重山諸島を含む台湾側に近い。沖縄周航セーラーにとっても難所となる座間味~宮古島間をクルーズできる貴重な機会である。〈アケーディア・ロシナンテ〉は座間味島を10:00に出港し、平均艇速6~7ノット予定、翌10:00には荷取(にかどり)漁港で給油をする計画・・・だったが、座間味島の人気アンカリングスポット古座間味(ふるざまみ)に寄り道し、遊びすぎ、出港は14:00となった(笑)。
「座間味島~宮古島は何にもないですから。風は南東13~16ノットの予報。機帆走ではなくセーリングだけで行けますよ」と余裕の相澤さん。私は池間島灯台の灯質などを下調べして臨んだが、よく考えたら朝出て朝に着くので灯台の閃光は見えなそうだ。目視に加えAIS(船舶自動識別装置)とレーダーで行き交い船などをワッチすれば問題ない。
航海のワッチは00:00から1時間毎の4交代。00:00~01:00が松下益暢(ますのぶ)さん、01:00~02:00が私、02:00~03:00が室橋紅里子(ありこ)さん、03:00~04:00が筒井光香(みか)さん。明治学院大学 外洋ヨット部現役の藤田 海(かい)さんと相澤さんはオールワッチという段取り。道中は、本枯節で取ったツユでいただくもずくそうめんから始まり、精米した米をカマドで炊いたご飯、釣ったスマガツオのたたきなどなど実に豊かな食事をいただいた。
翌朝、12:00ごろに八重干瀬をかわし、13:00ごろに荷川取漁港に着艇し、給油。仮のベースとして平良(ひらら)港の南、布干(ぬのほ)し堂桟橋へ係留してクルーの下船と、食料・飲料の補給を行った。今夜のアンカリング予定地は、宮古島西岸の砂山ビーチの沖である。
(次回へ続く)
愉快な〈アケーディア・ロシナンテ〉の皆さん。後列左から藤田海さん、相澤オーナー、松下益暢(ますのぶ)さん、前列左から、筒井光香さん、松下美佳さん、室橋紅里子(ありこ)さん
●宮古島の観光地を紹介!
居酒屋めーめー
TEL: 0980-72-0512
ヤギの人形が席に座る不思議な居酒屋。ヤギ料理はもちろんうまいが、串揚げが絶品。つまみはだいたい1品385円とリーズナブルなのもうれしい。

スタッフの鋤柄里湖(すきがらりこ)さん。ヤギの人形と一緒に♪

左上から時計回りに、ゴーヤーフーチャンプルー385円、無限オニオンスライス385円、ヤギ刺し2,200円

串揚げも絶品。各種385円~

店頭の子ヤギが目印です

店長の山本鉄平さん(右)。極上のヤギ料理をぜひ!
すばや大和
TEL: 050-5494-4773
平良の中心地にある、朝5時までやっている宮古そば店。飲んだあとの一杯はこちらで

ソーキと三枚肉が入った大和そば、950円

珍しい、ざるそば風の一品。冷やしそば900円
SUNDAYS宮古島
TEL: 0980-79-5085
ボリューム満点のハンバーガーを楽しめるダイニング。巨大ハンバーガーにかぶりつこう!

目玉焼き、チーズなどが入ったSundaysバーガー1,290円

アメリカンダイナーな店内。奥ではアパレルも売っています

営業時間は11:00~17:00
市指定史跡 ヌドクビアブ
TEL: 0980-72-3751(宮古島市役所)
宮古島市が指定する戦跡。戦時中に日本軍が使用したカマド跡も残る洞窟。道中、ほぼ道はないので足元注意。

宮古島の言葉で、ヌドクビは喉首、アブは縦穴。ジブリのワンシーンのようということで人気。幻想的だが、ちょっと怖かった

奥にはさらに深い洞窟がある・・・

ヌドクビアブの入り口。近隣の畑に迷惑をかえないように観光しよう
宮古島・布干し堂桟橋の入港案内
TEL: 090-8294-3937(布干し堂船主組合・本村繁信さん)

一般財団法人日本水路協会出版のnew pec(航海用電子参考図)から転載
入港DATA
5トン未満1日110円。要事前連絡。基本、避難、補給のための桟橋なので、最大でも利用は4 ~5日に。

平良(ひらら)港に入港したら、平良港北防波堤北灯台をかわして布干し堂船主組合の泊地へ。事前に連絡し空いていれば布干し堂桟橋の北側に係留
宮古島情報
●チャーター
ヨット エンマリンワークス TEL: 046-845-6133
ラグーン44、5 ~6 時間 6 人297,000円~
●修理業者
仲間 奨さん TEL: 080-1948-2109
エンジン、FRP修理など
●用品店
メイクマン宮古店 TEL: 0980-73-7100
ホームセンター。急な部品はここで
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公開をお待ちください
(文=中村剛司/Kazi編集部 写真=山岸重彦/舵社 協力=沖縄県・宮古島観光協会)
※本記事は月刊『Kazi』2025年9月号に掲載されたものです。バックナンバーおよび電子版をぜひ
相澤規勝さん
Norikatsu Aizawa
明治学院大学体育会ヨット部(外洋帆走)でヨットを学び、レースでは〈月光〉(J/ 24 )などで活躍。クルージングは、クラシカル艇モーリスで。2020年、ラグーン450に出合い、現在ラグーン42も持ちカタマランクルージングを楽しむ。