
【水路を航く】#60/都市の景色と雄大な自然と歴史遺産 ~富山県富山市・富岩運河
富山駅から徒歩10分、市街地にある富岩運河環水公園は、市民や観光客の憩いの場になっている。
近代的な建物が立つ町並みの奥には立山連峰の雄大な姿。富山らしい絶景だ。
昭和初期に完成し、資材の運搬などの水運で活用されていた富岩運河は、富山市内から北へと延び、“天然のイケス”とも呼ばれる富山湾へつながっている。
現在では、水運としての利用はほぼなくなったが、ソーラーボートが就航し、観光用の運河として活用されている。
途中にあるパナマ運河方式の中島閘門や、緑の多い環水公園に整備された運河沿いの道など、見どころの多い場所となっている。
(トップ画像説明)
昭和9年(1934年)完成の中島閘門。当時の姿を残すため、扉体(ひたい)はリベット接合、水密部はヒノキ材を使用している。写真中央の閘門操作所の建物も、当時を復元して再建された
◆日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『BoatCLUB』の人気連載「水路を航く」。 舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。
◆第60回は、『BoatCLUB』2024年1月号に掲載された、富山県富山市・富岩運河の風景をお届けする。
(※本記事の取材は2022年の10月に実施しました。掲載内容は取材当時のものとなりますのでご注意ください)
運河クルーズ出発地点である富岩運河環水公園。公園のシンボルかつ展望台でもある天門橋から撮影。公園全体だけでなく立山連峰も一望できる
閘室の扉が閉まるときに大きな渦ができていた。運河クルーズでは、約2.5メートルの水位差を調整する“水のエレベーター”を体感することができる
閘門操作所(左)の内部には、黒い大理石を使用した重厚な趣の操作盤が残る(右)。芝浦製作所(現東芝)製。現役の操作パネルは壁側に備え付けられている
運河クルーズの初代ボート、〈もみじ〉。赤い屋根と船体がかわいい定員11名のコンパクトサイズの電動ボート。今も現役で活躍している
2015 年3月から就航しているクルーズ船〈fugan〉(右上)。屋根にソーラーパネル(左)を装備した、モ ダンで先進的なデザインが特徴的。船体のアルミの風合いと、操船席(右下)の前の美しい曲げガラスが特徴的だ。定員は55 人
(文・写真=山岸重彦/舵社)
