東京五輪セーリング競技 日本代表選手紹介第3弾は、女子シングルハンド界を牽引する、レーザーラジアル級の土居愛実(アビームコンサルティング)です。インタビュー、プロフィール、応援メッセージをお届けします。
レーザーラジアル級
Women's One Person Dinghy
土居愛実
「レースそのものを楽しみつつ、最後まで諦めない姿勢で」
■この1年でスタートを改善
若き日本の女子シングルハンド界のトップランカー、土居愛実。これまで高いレベルの練習環境を求めて、積極的に海外で練習を積み重ねてきた。
「これまでずっと、海外で練習してレースに出て自分の悪いところを見つける、ということを繰り返してきました。この1年はそれができず、主観的にしか自分を見ることができませんでした。大人数でのレースはできる環境になってからやろうと自分の中で区切りをつけて、今できる動作や江の島の海面の特徴にフォーカスして取り組んできました」
そんな中、この春のヨーロッパ大陸予選では3位に食い込んだ。
「日本にいる間はずっと悶々としていて、レベルアップした実感はありませんでした。先日のヨーロッパ大陸予選でレースに1年ぶりに参加して、スタートが良くなっていました。ヨットを始めてからずーっとスタートが苦手で、出遅れて徐々に挽回していくことが多かったんです。日本でできる練習は限られていて、スタート練習は多めにやっていました。この1年でスタートが改善されて、レースではいいポジションで出られて、ずっと前で展開できることが多かったですね。初日からいい手応え、いい感覚がありました」
具体的にどのようなスタート練習に取り組んだのか。
「いかに海外レースっぽい練習をするかということを意識していました。例えば混戦になるように、5艇で練習するなら5艇では出られないような短いラインを設定する。それと、スタートの1分前からタッキングしてはいけないとか、このエリアから出てはいけないという制限をしたりとか」
日本ではレーザー級代表の南里研二や若手の鈴木義弘、高校生の選手に加え、年明けからはオリ強の飯島洋一コーチも一緒に練習していたという。
2019年のテストイベント「READY STEADY TOKYO」の様子。右端が土居
■自信がつき、金メダルへ弾み
以前から東京五輪の目標は金メダルと公言する。それに向けた準備は万端なのだろうか。
「課題はまだいろいろありますね。今まではもまれたところで一歩前に出ることが得意でしたが、久々のレースではそういうところで埋もれていくことが多かった。徐々に改善されましたが。混戦やマーク際のストラテジーやタクティクスは、五輪までの1カ月で取り組みたいと思います」
それでも先日の3位表彰台は大きな自信になったという。
「1年もレースをしていない状況はこれまでなくて、レベルを試しに出た大会。自分の中では全然駄目ではないかと思っていたので、自信になりました。行くまでずっと不安で、こんなんでは勝てないとずっとナーバスで不安だったんです。真面目だから、ここをもっとこうしなきゃとずっと考えてこられたのが、この結果につながったと思います。久々のレースはやっぱり楽しいと思いましたね。本番はオリンピックだからというよりも、レースをすることそのものが楽しみです」
自身の性格を真面目と評する。
「真面目すぎるかな? なんだろう、諦めが悪いかな。いや、最後まで諦めない、ということで(笑)」
五輪ではスタートで飛び出し、メダルレースのフィニッシュまで、存分に“諦めの悪さ”を発揮してもらおう。
土居愛実(どい・まなみ)
●所属企業:アビームコンサルティング
●出身:神奈川県
●年齢:27歳
●身長/体重:167cm /64kg
●競技歴:競技歴20年
●経歴:横浜ジュニア➡山手学院高校➡慶應義塾大学
●五輪出場歴:ロンドン、リオ
【応援メッセージ】
Kazi誌が企画した日本代表への応援メッセージの一部を掲載します。
・3度目のオリンピック、それも東京大会への出場、おめでとう。OP級時代から熱心にセーリングに取り組んできた君の姿は、子どもたちの夢、憧れ、誇りです。クラブ関係者全員よりエールを送ります。(横浜ジュニアヨットクラブ代表・丸田郁朗/74歳)
・絶対メダル獲得おねがいします!(おぅちゃん/71歳)
この記事は、現在発売中の『Kazi』8月号を再編集したものです。ぜひ本誌『Kazi』もお買い求めください。
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(文=森口史奈/Kazi編集部 レース写真=矢部洋一 選手顔写真=濱谷幸江/日本セーリング連盟)
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