8月7日に2年ぶりに開催される「トランスサガミヨットレース2022」。通称「トラサガ」は、静岡県下田市から神奈川県三浦市まで、北東に直線で約 48マイルに及ぶ相模湾横断のヨットレース。当日の相模湾の必勝ルートについて、気象庁の主任技術専門官、および神奈川県の横浜中華街の占い師に聞いてみました。科学的データと運勢による予測を参考に、レース参加の各艇で勝つためのルートを考えてみてはいかがでしょう!
この記事は月刊Kazi9月号(2022年8月5日発売)の特集(1)「レースを楽しんで勝つ!」に掲載予定の内容です。トラサガのレース開催日(8月7日)が近づいているため、特別に舵オンラインで先出しいたします。レースまで日数がないので、ぜひ急いで拡散してもらえると、Kazi編集部としてもうれしい限りです。けれども「自分だけが勝ちたい」的なセーラーなら、だれにも教えないほうがいいかもしれません(笑)。とりあえず「こっそり」教えます。
今年のレースでは、風と共に海流の影響のほか、占いの予測も参考にすると一層戦略的なレース展開を図れるかも (写真は2020年のレース開催時のもの)
7/15の実況に基づく相模湾周辺の海流の7/23の予想図
相模湾の南にある黒潮の潮流が大島の影響で北と南の二手に分かれている。大島北側の黒潮を効率的につかもう!(JPNの図、気象庁ホームページより)この図は取材時点における7/23の予測であり、実際はどうなるのか。さらに取材から3週間後を予測してもらった
気象庁の予測
黒潮の海流に効率的に乗ろう
レースが行われる8月7日、午前 10時に静岡県下田市の下田港沖を一斉スタートし、神奈川県三浦市の小網代湾口のフィニッシュエリアを目指す。スタートエリアに対してフィニッシュエリアは、北東に位置している。タイムリミットは翌8日0時までなので、相模湾で14時間に及ぶ各艇の知力を駆使した熱い闘いが繰り広げられる。
レース当日の海況について、気象庁海洋気象情報室の主任技術専門官の金子秀毅(ひでき)さんと、現業班の桝田祐里(ますだゆり)さんに予測をお願いした。2人は、気象庁の最新データから「天気や風のほかに黒潮の流れをつかむことが、レース展開に影響する可能性があります」と予測。気象庁が2020年10月から運用している「日本沿岸海況監視予測システム」(JPN)の7月15日の実況に基づく予想によると、本州南岸の太平洋を流れる黒潮は、伊豆諸島の大島、新島、神津島、三宅島などによって流れが四つに分かれる。大島の北側を流れる黒潮には、北東から東に向かう約2〜2.5ktの海流速度があり、大島の北から房総半島の南にかけて黒潮が速度を維持していることがわかる(上のJPNの図)。
下田港沖を午前10時にスタートして小網代湾口を目指す(写真は2020年のレース開催時のもの)
「風早つっかけ」気味がよし!?
JPNの特性上、10日より先の詳細な海流の予測は精度が低くなるという条件のある中で、レース日まで3週間以上前の取材にもかかわらず、「どのようなルートが有利となるでしょうか」と質問してみた。金子さんは「データとしては、レースに影響を与える一つのルートとして、下田沖のスタート後、南東や東に約6.5マイルほど航行すると、北東に向かう黒潮に乗れるのではないかと思われます。その後、大島の北約5.4マイルの位置から東に針路をとり、大島の北端を南南西に見える位置から北寄りに針路を変えてフィニッシュエリアを目指すことが、最も効率的な黒潮のつかみ方になるでしょう」との予測だった。
桝田さんからは「相模湾の北側には黒潮からわかれた『暖水渦(だんすいうず)』という時計回りの海流があります。この渦の速度が約0.5ktで、フィニッシュエリアに向かうヨットの妨げになることが考えられるので注意する必要があります」とのアドバイスがあった。
つまり今年は、古くから言われている「風早(かざはや)つっかけ」に近いコースが良いという予測が出たということになる。
スタートして下田沖から東へ向かい、北東に流れる黒潮の潮流をいち早くつかむことが高順位獲得のカギになりそうだ。ここで注意してほしいのは、このコース予測図は、潮流のみを鑑みたものである、ということ。ここに風向風速から割り出されるVMG(有効速度)、VMC(マークに対するVMG)を加味した戦略を必ず立ててください。いや、舵オンライン読者なら、そこまで言わなくても大丈夫ですね(笑)
天気と風向や風力については、レース近日の気象庁発表の天気予報を参考にしてもらいたい。天気・風向・風力という気象条件に加えて海流を味方につければ、より一層、有利なレース展開が図れそうだ。レースの勝利には、経験と勘と共に、さまざまな信頼のおけるデータを参考にすることが大切だ。参加艇にとって、レース海域での自艇のルート決定は、レース展開の上で最重要の作戦項目となる。経験・勘・データ・運などを自分のよりどころとして、トラサガの上位を楽しみながら狙ってほしい。
気象庁の表層水温・海流予想図の最新情報を得たい方はコチラから
占いは「当たるも八卦、当たらぬも八卦」ですので、あくまでも参考程度に
(写真=写真AC)
人事を尽くして天命を待つ
日頃のチームワークの醸成や船底掃除など、レースに向けた準備をしっかりと行った後は、運に任せるゆとりも勝負には必要な要素かもしれない。
ということで、横浜中華街(神奈川県)で当たると評判の占い館「愛梨」を訪ねて、占い師の村上紫乃さんに、8月7日、トラサガのスタートエリアである静岡県下田市から、フィニッシュエリアの神奈川県三浦市まで、晴れやにわか雨の際のルートについて、九星気学と四柱推命などに基づいて占ってもらった。この占いの結果には、気象庁の気象データや予測は含まれていないので、あくまでも「運勢的な参考」としてもらいたい。
※方位は各艇のその時点の位置からみた方位を示している
◎北東/準備万端のフネのみ吉
スタートエリアからフィニッシュエリアまでの最短ルートは、北東に約48マイルとなる。北東に進むこのルートを選んだ場合の見立ては「機械の差が出る」とのこと。整備を万全にしているなら吉。一方でメンテナンスに少しでも不安のあるフネは、その整備結果が如実に出て、トラブルに遭う可能性がある。日頃の整備に加え、レースに向けた整備をしっかりしたフネのみが選ぶルートらしい。たとえ準備万端でも「2〜3回の確認作業を4〜5回することを忘れないように」とのこと。
◎東・北/「良い風」があるかも
東と北、共に吉。下田市沖から最初は東に向かうのが有利で、その後に北へ向かうと良い風があるかもしれない。下田市沖から、なるべく沖に出るのが吉。東をどれだけ制覇するかが鍵となり「北へ行くとしても、まずは東に向かってから北上すると風をつかみやすい」とのとこと。
◎南東・北西/風が強く荒れる可能性あり
「風が強く荒れることが考えられる」とのこと。凶の方角と考えてよい。
◎午後9時29分以降/北と北東が吉
8月7日の気の流れが午後9時29分に変わる。それまで東が吉だが、午後9時29分以降は北と北東が吉となる。
◎占いのまとめ
スタートエリアから大島の北側沖まで東と北へ向かう針路で目指し、大島の北から北に向かって針路を変える。フィニッシュエリアを北東に見ることができる位置まできたら、針路をフィニッシュエリアに向かう北東にとる。
横浜中華街占い館 愛梨本店
神奈川県横浜市中区山下町187
TEL: 045-663-5009
営業時間:10:00〜20:00
https://www.irie-yokohama.com/
(文=Kazi編集部/友田享助、写真=舵社)
※本記事は月刊『Kazi』2022年9月号に掲載予定です。バックナンバーおよび電子版をぜひ
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