【カヤックハウツー】基本の「き」#06/カヌーのセルフレスキュー

2022.01.05

基本スキルを身に着けることこそが、安全なパドリング上達の近道。今回のテーマはカナディアンのセルフレスキューです。
カヌーは一般的なサイズが16フィート(約4.8メートル)と大きく、その見た目通りに積載能力に長け、安定性も高いことが特徴です。
ただ、その大きさゆえに風の影響を受けやすく、さらに沈した場合のセルフレスキューの難易度が高いといったところがウィークポイントにもなります。

 

(文・写真=村上周平) 

 

 

■逆さまになった艇内の様子


転覆した場合に重要なのは、とにかく落ち着くこと。カヌーはオープンコクピットなので、転覆の際に人はたいていカヌーの外に投げ出されますが、ごく稀にシートに足が引っかかるなどして艇内に取り残されることがあります。
パニックに陥りやすい状況ですが、その場合、カヌー自体に浮力があるので逆さまになった艇内には多少空気が残っており、水面から顔を出して息を整えるくらいの空間はあります。
そこで一呼吸置いてから冷静に対処して抜け出すことが大切です。

 

■カヌーの復原方法

転覆したカヌーをそのまま起こすと、オープンコクピットの性質上、大量に水をすくってしまって排水が大変です。そこで、いかに排水しながら起こすかが重要なポイントとなります。手順は以下の通りです。

 

カヌーの中心部に移動し、ガンネルをつかんで艇を90度起こします。

 


立ち泳ぎをしながらカヌーを下から押し上げ、一気に奥へ倒します。

 


ベイラーを用いて排水を行う。すくった水は反対の肩越しに捨てると効率的です。

 


タンデムの場合はバウとスターンに分かれ、シングルの際と同様の手順で復原します。

 

■シングルの再乗艇

復原したカヌーに再乗艇する方法は以下の通りです。

 


カヌーを復原したら、両手でガンネルをつかみバタ足で下半身を浮かせ、水面と平行な姿勢を取ります。

 


バタ足しながらカヌーを引き込み、上半身をカヌー上に滑り込ませます。

 


カヌーが手前にひっくり返らぬよう、片手を奥のガンネルにかけてバランスを取り、バタ足を繰り返して体全体を艇内に移します。

 

■タンデムの再乗艇

タンデムでの再乗艇です。こちらは1人がサポート役となり、1人ずつ乗り込むのがポイントです。

 


サポート役は逆サイドのガンネルを押さえ、カヌーが転覆しないよう補助。少し乗艇側へ傾けてあげると、乗艇は楽になります。

 


2人目の乗艇は、先に乗り込んだほうが相手のPFDをつかんで補助を行います。

 

■補助具を利用した再乗艇

自力で再乗艇ができない方でも、補助具を利用すれば楽に再乗艇ができます(この方法は流れのない静水域限定です)。

 


ドライバッグに1/4ほど水を入れ、センターヨークに取り付けて船外に垂らすと、乗艇の際のバラストとなり艇が傾きにくいです。

 


ロープ類をセンターヨークに結び、片方にループを作ると足かけになり、乗艇しやすくなります。

 

※本記事は『カヌーワールド』VOL.23の連載「カヤッカーのためのリスクマネジメント教室」から抜粋したものです。併せてバックナンバーもぜひご覧ください。 


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(著者プロフィール)
村上周平(むらかみ・しゅうへい)
1980年生まれ。北海道出身。青森県十和田市在住。 日本セーフティカヌーイング協会(JSCA)公認スクールTowadako Guidehouse 櫂代表。JSCA安全委員会。青森県十和田湖をメインフィールドとしてカナディアンカヌーのツアーやカヌー塾を開催している。通年通してカヌーと自然の魅力発信中!!
http://tgkai.jp/

 


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