木村啓嗣さんが単独無寄港世界一周の日本人最年少記録を更新!

2024.06.08

白石康次郎さんが1994年に樹立した、単独無寄港世界一周日本人最年少記録(26歳10カ月20日、航海日数は176日)の更新を目指した木村啓嗣(ひろつぐ)さん(24歳)が、6月8日午後2時40分に紀伊水道ゴールライン(紀伊日ノ御埼と蒲生田岬の間)を通過し、航海を成功させた。使用したヨットは〈ミランダ〉(X-41)で、ホームポートは兵庫県・新西宮ヨットハーバー

 

木村さんの記録は24歳9カ月14日で、航海日数は231日(7カ月18日)。白石さんの記録を2歳縮め、30年ぶりの新記録が誕生した。

 


紀伊日ノ御埼沖を通過する〈ミランダ〉(X-41)

 

木村さんの挑戦は、2019年に関西のヨットチーム〈アマンダ〉に加わったことから始まった。大分県の別府翔青高校ヨット部で競技を始めた木村さんは、当時はまだ海上自衛隊の潜水艦乗り。関西でヨットに乗るうちに、情熱が再び湧き上がった木村さんは、同年11月に退官し、〈アマンダ〉チームの濵田篤介さんが代表取締役を務める環境ソリューション企業「浜田」に就職。高校時代に白石さんのヴァンデ・グローブ挑戦を見て憧れを持っており、まずはその日本人最年少記録を塗り替えることを目標とした。

 

Kazi編集部が最初に木村さんと浜田さんを取材したのが、2021年4月。同年8月には、社内に「Go Around Re-Earth」というプロジェクトチームが発足し、社内外の多数の人が携わるビッグプロジェクトになった。

 


木村さんのフィニッシュを見守る濵田篤介さん(右端)と、〈アマンダ〉チームで濵田さんと共同オーナーを務める安藤 慎さん(中央)


木村さんと〈ミランダ〉を見守る濵田さん。携帯電話で木村さんと話し、最初の言葉は「おかえり、よう生きて帰ってきたね」。その後、「携帯で話せるのは不思議な感じやね」と話した

 

1度目の挑戦は、最初の取材時の想定より1年早い、2022年11月12日。新西宮ヨットハーバーから出航し、東回りで世界一周を目指した。しかし、水力発電システムやオートパイロットの不具合のため日本に戻ることを決断し、11月21日に帰国。翌年再スタートすることを決め、2023年5~7月にはハワイまでの長距離単独航海を完遂し、船にはハードドジャーを設置するなど改良を重ねた。

 

そして2023年10月22日14時15分、再出航。1月30日にはホーン岬を通過。オートパイロットの故障(ベースは折損)、ビルジポンプの故障、ジブとメインセールが1m以上裂けるなど、7カ月におよんだ航海では大小さまざまなトラブルを経験した。

 

明日9日(日)は、新西宮ヨットハーバーで帰港セレモニーを予定している。

 

これまでの木村さんの記事は以下の通り。

 

■舵オンライン

単独無寄港世界一周に挑戦中の木村啓嗣さん、ホーン岬を通過(2024年1月30日)

木村啓嗣さん、二度目の挑戦へ。世界一周に向けて再スタートを切る(2023年10月22日)

単独無寄港世界一周の日本人最年少記録を目指す木村啓嗣、10月に再出航(2023年9月10日)

木村啓嗣さん、単独無寄港世界一周航海へ(2022年11月12日)

■月刊『Kazi』

2024年1月号 〈ミランダ〉の木村啓嗣さん、世界一周再出航

2023年11月号 木村啓嗣、ハワイ往復トレーニング完了

2023年6月号 木村啓嗣、単独無寄港世界一周 10月、再び出航へ

2023年1月号 単独無寄港世界一周日本人最年少記録への挑戦 木村啓嗣、23歳 いってら!

2021年11月号 単独無寄港世界一周を目指す22歳

 

(文=森口史奈/Kazi編集部 写真=山岸重彦/舵社)

 


あわせて読みたい!

●スウェーデンの注目ヨットビルダー、ショーグンヨット

●海図で作られた世界に一つだけの箱|広島県なかた美術館で販売中

●6月5日発売、月刊『Kazi』7月号|特集は「島々を巡る冒険/その夏、僕たちは最高の思い出を手に入れる」

 


トピックス

トピックス の記事をもっと読む