3月31日、DMG MORIセーリングチームは、都内で「白石康次郎ヴァンデ・グローブ2020完走報告会見」を実施した。登壇者は、白石とチームオーナーであるDMG森精機の森 雅彦社長の2人で、今大会の報告や白石がレース中に採取したマイクロプラスチックの受け渡し、今後のチームの方針について発表された。
まず白石本人から今大会の報告があり、メインセールの破損やその修理、レース中の森社長とのやりとりなどについて話があった。"白石節"は健在で、会見は終始和やかな雰囲気で進められた。
DMG MORIセーリングチームのスキッパーである白石康次郎と、DMG森精機の森 雅彦社長
■6地点で海洋プラスチック採取
30年以上セーリングを続ける白石も「この問題には早く取り組んだほうがいい」と危惧する、海洋プラスチック。その実態は世界全体で1%しかわかっていないという。今大会、白石は94日間のレース中に6回の海洋プラスチックのサンプル採取を行った。そのサンプルを、分析を行う海洋研究開発機構(JAMSTEC)地球環境部門海洋生物環境影響研究センターの藤倉克則センター長に手渡しした。JAMSTECでは早速本日よりサンプルを開封し、分析方法などについて検討するという。
中央がJAMSTECの藤倉克則氏。藤倉氏が手にしているのが、白石が採取して持ち帰ったサンプル
■これからのビジョン
最後に同チームは、今後の活動方針を次のように発表した。
✔︎白石康次郎とヴァンデ・グローブ2024に挑戦
✔︎日本にもっとセーリング文化を
✔︎若手スキッパー、エンジニアの育成
気になる次回大会、ヴァンデ・グローブ2024-2025には、再び白石をスキッパーに擁する。チーム2度目、白石にとって3度目の挑戦だ。目標は8位以内で、この設定は森社長いわく、今大会は出場33艇のうち半分の16位だったため、次はさらにその半分ということで8位なのだという。
艇体は現在の〈DMG MORI Global One〉を使用し、フォイルは改良する予定。さらに船内で快適に過ごせるよう、あらゆる改造を施す方針だ。
今年7〜10月は、ジャパンツアーと称して、日本に〈DMG MORI Global One〉を輸送し、一般の方に見学してもらえるよう各地でイベントを行う。
さらに明るい話題が、若手スキッパーとエンジニアの育成にも尽力するということだ。スキッパー育成にはミニ6.5を使用し、日本とフランスの2拠点で活動を行う。
また白石や森社長自身もエンジニアであり、その技術はヨットの整備や修理に大いにいかされている。エンジニアとしての技術の重要性を実感しているからこそ、自チームでの若手エンジニアの育成に力を注ぐ。興味のある若者は、ぜひ自らこのチャンスをつかみに行ってほしい。
フィニッシュ時の〈DMG MORI Global One〉と白石康次郎。次回大会もこの艇で挑むことを発表した
photo by Yvan Zedda / Alea
再びうれしいニュースをもたらしてくれたDMG MORIセーリングチーム。その活動から目が離せない!
(文・写真=Kazi編集部/森口史奈)
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