ボートで日本一周したい! けど実際には色々難しいので、妄想ですることになった当企画。前回は和歌山県田辺市のまるちょうボートステーションまで進んだ。さぁ、次はどこへ行こうかな?と海図を見るのでした。
【これまでの内容】
田辺周辺をたっぷりと満喫しつつも(妄想)、どうにも気になることが頭から離れないでいた。それはこの先の航路について。
先人たちのアドバイスに素直に従えば、瀬戸内海である。でも、四国の南を通るという選択肢もあるのだ。ヨット部に所属していた大学生のときは、セールボートのスピードは遅いからってことで逆に複雑で速い潮流の瀬戸内海には入らず、室戸岬を回って九州まで行った。いや、正しくは私とは別の班が行ったので、同期や先輩・後輩からそう聞いたってだけ。私は宮崎県・日向で合流した(日向まで電車の鈍行だけを使って行ったなぁ)。ちなみに、そのときの目的地は屋久島だった。
だからずっと考えていたのだ。四国の南を行くのはどうだろう、と。個人的にマイナーな場所が好きなのである。世界を回っていたセールボートの航海に参加したのも、グリーンランドに行ける(それも自分たちが操船するセールボートで!)のが魅力的だったから。だから結構迷った。室戸岬回ってみたい! という欲求も強くて。
とはいえ、やはり瀬戸内海の魅力を前にすると、そのマイナー嗜好も鳴りを潜めがちになることもわかっていた。迷いに迷って、やはり先人たちのアドバイスには従うが吉だと思い、瀬戸内海へ入ることを決めた。そうとなれば、次の寄港地選定である。
順当に行けば、瀬戸内海の四国側だろうか、なんて考えながら港を調べていると、小鳴門海峡を発見! ここ行くの楽しそう!! だが、場合によっては潮流が川のように流れるらしいし、北上する場合、南側の入り口にあたるところには中瀬というのがあり、その北側が浅いため狭い南側を通らないといけないみたい。北側を通って、座礁事故を起こしたフネもあるのだとか。怖い怖い。でも、今回はビビリより好奇心のほうが勝るのだ。
出港予定日は4月12日(妄想上)。2019年を見ると、昼前くらいから南流に転じて鳴門海峡では4ノットもの潮流になる。向かい潮よりも、潮流に押されて思った以上にスピードが出すぎたり、あちこちで複雑な流れが生まれたりするほうが、狭い海峡では怖そうだから、転流する少し前に海峡に入って、転流後に出口から出られるようなイメージで行こうっと。
そして、今回の航程では、ここがハイライトだから、停泊地は、海峡を出てすぐの大浦漁港にしようっと。ここは漁港だけど、「きたなだ海の駅」になっていて、漁協の名を冠した物産店や飲食店なんかもあって、おいしいもの食べられそうだなぁ♪
それと、周辺のこの季節は、マダイやサワラがいいそうなので、ぜひともねらってみたい。漁師さんと仲よくなって情報を収集してみようっと。あ、『BoatCLUB』筆者の関西ボートアングラー、九鬼正憲さんに聞いてみてもいいかも。聞いたところで釣れるかどうかわからないけど、トライする楽しさを無視するわけにはいくまい!
それから、1日くらいは鳴門海峡の渦潮を見に行きたい。潮の状況を見て行ってみよう。あぁ楽しそうだ!
ステキな海峡を見つけて、行き先は即決。妄想してたのは2020年だけど、2023年に実際に訪れる機会があって、本当にステキなところだと思った。海図を見ているだけでワクワクしてくる
実際に2023年に小鳴門海峡を訪れたときの写真。赤い橋が小鳴門新橋で、すごく印象的な海峡だった
大鳴門橋下の潮流の渦。こんなの見たら怖くなるんかなと思ったけど、ただ「すごい」という語彙力不足に陥るだけだった
2023年の取材のときに鳴門海峡周辺で釣れた魚たち。すごく軽いタイラバでマダイや根魚が、泳がせで青ものが掛かったのだ。ということで、釣りもしたいなぁ♪
日本一周を想定するボート〈BC〉の主な仕様
●全長:8.2m ●全幅:2.7m ●搭載船外機:115馬力×2 ●燃料タンク:400L ●巡航速度:約20ノット
(文=茂木春菜/BoatCLUB編集部、写真=山岸重彦/舵社)
※当記事は月刊『BoatCLUB』2020年2月号に掲載していた「妄想全開! 机上で日本一周」の内容を再編集したものです。
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