【短期集中連載】マリンの仕事⑧|お客さまの愛艇を届ける|輸入艇ディーラー

2024.03.31

マリンの仕事 第8弾は、プレジャーボートの輸入販売。ただ船を提案して売るだけではない、その仕事内容について詳しく伺いました。

 

2024年『Kazi』1月号の特集「海で働く」では、マリン業界の中からいくつかの職種を紹介しました。その内容を再編し、「マリンの仕事」シリーズとして舵オンラインで公開します!

 

シリーズの記事はコチラから!

マリンの仕事①|充実した海の休日を演出|マリーナスタッフ

マリンの仕事②|頼れる商品知識と品揃え|マリンショップ

マリンの仕事③|セーリングのスペシャリスト|プロセーラー

マリンの仕事④|最高の海着をユーザーに|ウエア代理店

マリンの仕事⑤|世界の海で信頼される製品を|舶用電子機器メーカー

マリンの仕事⑥|人の成長を導く航海に|帆船クルー

マリンの仕事⑦|最速の船造りへの挑戦|ボートデザイナー

マリンの仕事⑧|お客さまの愛艇を届ける|輸入艇ディーラー

マリンの仕事⑨|世界で戦うセールを作る|セールメーカー

 


マリンの仕事⑧|輸入艇ディーラー
ファーストマリーン

 

藤本 伸さん(写真左端)のお気に入りのモデル、ベネトウ・オセアニス46.1。「スピーディーで中も広く、日本でのベストサイズだと思います」

 

フランスのベネトウグループ製ボートの輸入販売を手掛ける、神奈川県葉山町のファーストマリーン。2023年7月に社長に就任した藤本 伸さんにお話を聞いた。

「弊社の業務は、問い合わせに対する販売が主です。セールボート(ヨット)とパワーボートでは、今は7:3くらいでセールボートの取り扱いが多いです。艤装や回航の機会も頻繁にあり、艤装品と船に対する知識が求められますね」

 

この仕事の大前提としては、ヨット、ボートが好きであることが一番だと藤本さんは言う。

「船を通して、普段会えないような方ともお会いできるし、お話もできるし、非常に近い距離での関わりができるので、身の引きしまる思いもありつつ、それも醍醐味であると思います。また、フランス現地に建造過程を視察に行くこともあります。どこでどんな船が、どのようなスタッフによって造られているのかを知ることも大事です」

 



 

「ただ好きなだけで務まる仕事では決してないです。好きの先に、それを販売するという仕事がありますから、そのハードルを越えるには、とことん好きでないとなりません。(創業者の)関口(徹夫)がこの仕事でここまで来たというのは、やはり大好きだったから。情熱が半端じゃないんですよ。この仕事をする上でハードルや苦難もあったと思いますが、好きだからこうなったのでしょうね」(藤本さん)

 

販売する前段階では、実際に船を見てもらう、触ってもらうほうが、船の特徴を分かってもらいやすいので、お客さまからの問い合わせがあれば、マリーナなど海辺で会ってお話をすることがほとんどだそう。

「『ちょうど艤装している船があるのでいらっしゃいませんか?』と。カタログを見て話すのもいいですが、やはり実物を見てもらうことが一番です」

 

さらに、この仕事は販売してからが大切だ。

「お客さまとの関係は、販売してからのほうが長いです。昔からよく一緒にお客さまとセーリングしていますが、最近はオンラインでのやり取りも増えて、よく『今はどこの海にいる』などの情報をもらいます。特に弊社のお客さまは潮っ気のある方が多くて、よくやり取りをしていると、なんだか一緒に乗っているような感じがしますよ。何か問題が起こったときには、お客さまと情報を共有して解決することも仕事のひとつです。これからも、販売だけでなく、丁寧なアフターサービスを提供していきたいですね」と新社長の表情は明るい。

 

左:ギャラリーも兼ねた葉山のオフィス。海やヨットの写真が数多く展示されている
右上:葉山のオフィスの外観
右下:「カタログを開いて商談」のイメージ。実際には最後の最後、オプションを決める段階などでカタログを見るそう。かつてはパリボートショー(ベネトウは全モデル30艇を展示したとか!)などへお客さまと出かけたが、インターネットの普及により頻度は減ったという

 

1965年生まれ。ILCA(レーザー)級でヨットに親しみ、前職でもセールボートの販売を手掛ける。2001年に創業者の関口徹夫氏より誘われ、同社初の営業マンとして入社。現在、ベネトウを含め7ブランドを手掛ける

 

若手社員の福岡輝芳さん(下記に写真と説明あり)のお気に入りは、ベネトウ・スイフトトローラー41(写真は同セダン)。「軽快な走りと快適な生活を楽しめます。西日本まで長い距離を回航した思い入れもあります(笑)。先輩たちはフランスからヨットで日本まで回航すると聞いてカルチャーショックでした」と福岡さん

 

これからのプレジャーボート界の未来を語る藤本社長(右)と福岡さん

 

若手の福岡さんは入社して2年半。前職でボート販売や海外営業を経験後、やはり海の近くで働きたいと、同社の門を叩いた。「ベネトウグループには大中小さまざまなボートがあります。ヨットもやってみたかったし、パワーボートにさらに力を入れると聞いたので、前職の知識も生かせると思いました。これまで行けなかった場所にも回航などで行けて楽しいです」

 

ヨットとボートが、とことん好きであることが大切。日々進化する舟艇の知識を身に付け、お客さまに最良の提案をすることも仕事のひとつ。

 

(問)ファーストマリーン
神奈川県三浦郡葉山町上山口1448-5
TEL: 046-879-2111
https://www.firstmarine.co.jp/

 

(文=森口史奈/Kazi編集部 写真=山岸重彦/舵社)

 

※本記事は月刊『Kazi』2024年1月号に掲載されたものです。バックナンバーおよび電子版をぜひ

 

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